【都市伝説】「痩せる薬」(4)

【都市伝説】「痩せる薬」(3)より続く

Yさんや仕事仲間たちもその噂を耳にしていたが、本人には言えなかった。本部ではOさんを販売員から外そうとする動きもあるとの話を聞いた。

それからしらばくして、Oさんが無断で店を休んだ。その日、YさんはOさんが一人暮らししている家に電話をかけたが、電話に出なかった。二日目もOさんは店に来なかった。電話をかけてもやはり出ない。

嫌な予感がしたYさんは、Oさんの家に行ってみることにした。YさんがOさんの家を訪れるのは初めてだった。外ではしょっちゅう一緒に遊んでいたが、家に行ったことはなかった。




Oさんの家は、派手な生活を送っている彼女からは想像もできないようなだいぶ質素なアパートだった。家に行ってみたが、カギがかかっていて入れなかった。電気のメーターを見てみると、グルグルと勢いよく回っている。Yさんは中にいるのではないかと思った。どうしようか迷ったが最悪のことを考え、大家に訳を話して一緒に中をあらためて見ることにした。

部屋は狭く服であふれ帰っていた。ほとんど足の踏み場もないほどだったが、Oさんの姿はなかった。部屋は汗が吹き出るほどに暑かった。暖房がついていて、真冬でもりありえない程に高い温度に設定されていた。

どこからからチョロチョロと水が流れるような音がする。音を辿って行くと、風呂場だった。なんだ風呂に入っているのかと思い、Yさんは声をかけた。

「大丈夫!? 中にいるの!?」




すると、中から

「寒い寒い」というOさんの声が聞こえた。

風呂に入っているのに寒いというのも変だが、Oさんの声が聞こえ、Yさんは安堵した。声がするのなら大丈夫だろうとのことで、大家は部屋を出て行った。

(※続く)

(監修:山口敏太郎)

画像©写真素材足成

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