都市伝説・語ってはいけない怪談・田中河内介の最期【前編】

 幕末の志士に田中河内介という人物がいる。

 天誅組の幹部であった中山忠光の父・中山忠能の御用人であった人手、寺田屋事件の後、大久保利通の指図により殺されてしまった。この田中河内介の最後は哀れなもので、この最後について語ると不吉なことが起こると言われている。




 池田弥三郎「日本の幽霊」によると、こんな話が大正の頃にあったと言われている。ある怪談の会があった。会場は向島の百花園とも、画博堂という商家とも言われている。そこに一人の見知らぬ男が現れた。その男が言うところによると、

 「田中河内介の最後について話をすると、その人に必ず不幸が起こるといわれており、誰も河内介の最後について話す者がいなくなった。とうとう真相を知っている者は自分ひとりになってしまったので、話をしておきたいと思う」

 この話を聞いて止める者もいたが、中には聞きたがる者もおり、男は田中河内介の最後について話し始めた。

 「文明開化の世の中に、話せば不吉なことが起こるなどということはありませぬ」

と男が話し出したのだが、ふとすると話が元に戻ってしまう。




 再び、文明開化というぐあいに戻ってしまうのだ。池田弥三郎の父もこの怪談の会に参加しており、聞いていたのだが、何度も何度も話が前振りに戻ってしまうので、座をはずしていた。他の者も煙草を吸いに行ったり、電話をかけにいったりして、誰も座敷にいなくなった。すると、一人残された男は、机に顔を伏せ絶命していた。

【後編】に続く

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)

寺田屋事件




関連記事

最近の投稿

ページ上部へ戻る