アメリカに渡って性質も変わった?アメリカ版「レプラコーン」の伝承

本アトラスでこれまでにも何度か取り上げている、1910年にアメリカで発行された「木こりの森の恐ろしい動物たち」。19世紀から20世紀初頭にかけてアメリカで実在が信じられていた未確認動物や妖怪の伝承を挿絵付きで紹介したもので、その生物の造形は今から見ても非常に独特なものが多い。

このように独創的な妖怪や未確認生物が想像される一方で、アメリカには欧州から入植してきた人々も多いため、もともと彼らの母国である欧州に存在した伝承に登場する妖精や妖怪たちもそのまま語り継がれてきていた。しかし、伝説や伝承は風土や環境が変われば変異するもので、この本にもその例が掲載されている。




アイルランドの伝説にはレプラコーンという妖精が登場する。妖精たちの靴屋で片方ずつ修理するとか、地中にある宝物のありかを知っている等、様々な特徴がある。いたずら好きで小人の妖精でもあるため、様々な逸話が各地に残っている。

そんなレプラコーンは海を越えてアメリカにも上陸していた。そしてオンタリオ州やミシガン州北部、カナダのオタワなどの森の中や沼地に棲息するようになり、一部は人間を襲うように凶暴化したというのだ。

大半のレプラコーンは沼地の中で遊びまわり、泥炭を湧かせたりして人を驚かすようないたずら好きな妖精になっているのだが、一部のレプラコーンは鋭い歯や爪で森に入ってきた人間を襲うのだという。なんでも飢えのために変質してしまったのだそうだ。




凶暴化したレプラコーンの脅威に襲われているのは林業に携わる人々、特に切り出した木材を運搬する人々は搬送時など不意をつかれる事が多いこともあって、何度も危険に晒されているそうだ。これら当時の林業従事者の作業状況が過酷で危険なものだったという点が反映されているのかもしれない。

なお、現代のアメリカではさすがにそこまで実在が信じられてはいないが、伝承はきちんと残っている。今でもアイルランドの祝祭日である3月17日の「聖パトリックの祝日」にはレプラコーンを捕まえる罠を作る宿題が出されるなど、大事に語り継がれているようだ。

(田中尚 山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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