【現代民話】徳島大空襲で逃げてきた人々を守りきった天狗様

私こと、山口敏太郎は四国・徳島県の出身だ。都市伝説祭りや、妖怪阿波踊りなど多くのイベントを地元でやっている。

そんな徳島に関わる現代の民話がある。

太平洋戦争末期、徳島も空襲の被害に度々見舞われた。当時徳島市二軒屋町に住んでいた祖母はこんな体験をしている。



米軍の空襲が始まり、まだ幼児だった私の父を背中に背負い、祖父と一緒に裏山にあった秋葉神社の境内に逃げ込んだ。この秋葉神社はYさんという人物が静岡から持ってきて作ったものである。天狗様を祀っており、火伏せや防災のご利益があると言われていた。

神社の境内に逃げ込んでみると二軒屋中の人たちであふれており、足の踏み場ないほどであった。すると、遥か上空の米軍の飛行機からも我々の姿が見えるのだろうか・・・神社をめがけて爆弾が投下されてきた。

爆弾が境内に集まっている人々の上に落ちる寸前、山から吹き降ろす風がその爆弾を境内から大きく射程を逸してしまった。

その瞬間、人々の口から「おおっ〜」という歓声が上がった。再び米軍の飛行機から次の爆弾が投下される。すると再び山上から風が吹き、爆弾を我々から大きく逸した。

こんな不思議なシーンが何度か続き、徳島大空襲において秋葉神社の境内に逃げ込んだ人たちは1人も死亡する事はなかったという。

少年時代の私に向かって祖母は何度もこの話をした。

「天狗様のおかげで助かったんじゃ」

まるで日本昔話みたいだと私は思ったが、この話は非常に好きな現代民話である。

冷静に考えれば山から吹き降ろす風が爆弾のコースを変えただけのことだろうが、それが天狗様の方力のおかげと言う解釈が加わるだけで昔話的になるのだ。




アトラスでは天狗の記事を何度か掲載している。「天狗の詫び証文」「天狗小僧寅吉、実は宇宙人のアブダクションであった」「飛鳥時代のアマキツネ騒動」「鎌倉時代に京都で天狗が集まり日本を混乱に落とし入れる計画があった」などが代表的な記事である。

その後、私は秋葉神社の境内で行われる相撲大会に何度か参加した。相撲の試合で勝つと、社のある小高い山からカゴに入った景品がスルスルと降りてくる。

それを見ているとまるで天狗様に景品をもらったような気分になった。今は相撲大会も開かれていないようだが、私が子供の当時には何とも言えない風情があった。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©PIXABAY

関連記事

最近の投稿

ページ上部へ戻る