邪眼の青い目 トルコの魔除・ナザールボンジュ

 数年前、仕事で知り合った友人のSくんが、海外旅行(バリ島) のお土産に買ってきてくれた、謎のおみやげが山口敏太郎の事務所に存在している。

 それは大きなガラス製の円盤で、透明で深い青色をした部分の中央に、白と青の目玉のような模様があるというもの。当時の筆者はこの物体の正体がなんだか全くわからず、Sくんに聞いた記憶がある。




 「Sくん、これは何だね?」
 「…さぁ、なんでしょう」

 これにはお互い苦笑いするしか無かった。結局、Sくんにも詳細はわからず、多分魔除けの類だろうと思って弊社の編集部の玄関に鎮座することとになった。

 それから数年ほどして、筆者が横浜中華街で雑貨や民芸品を見ていたとき、もっと小型の似たものを発見。店員さんに聞いたところ「トルコの魔除・ナザールボンジュですよ」と教えてくれた。
 パワーストーンやおまじない、お守りに興味がある人の中には見たことがある人がいるかもしれない。白地に青い目のような目玉模様が描かれたデザインの、トルコでは伝統的なガラス工芸品であり、筆者の推測通り一種の魔除けとなるものである。

 地中海地域には昔から「欲望や羨望など、悪い感情を乗せて送られるまなざしにさらされると悪いことがおきる」とする言い伝えがあった。「目は口ほどにものを言う」に似た概念で、目や瞳は人の感情が如実に現れるところであり、視線は魔力を持っているとみなされたのだ。逆に、その魔力を悪用し、相手を睨みつけたり見つめることで呪おうとする人もいる。そんな「邪視」や「邪眼」の呪いを跳ね返すものがナザールボンジュだというのだ。

 この目は身につけている人の代わりに、邪視の呪いを引き受けてくれるため、強い呪いを受けるとヒビが入ったりもするのだという。




 また、ナザールボンジュが青い目なのは、「青い目の人の視線は呪いをもたらすことがある」という昔からの俗説にあるという。イスラム圏で古くから広く信じられているもので、ヨーロッパ系の青い瞳が珍しかったため、恐怖の対象とされたことが源流とされている。
 
 見た目がリアルな目玉な造形のものもあるので、人を選ぶかもしれないが、気になる人はお守りとして購入してみてもいいのではないだろうか。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©写真検索さん

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