リアルとフェイクの間に生まれたエンターテイメント 川口浩探検隊の真実

 川口浩探検隊は昭和を飾った楽しい企画であった。毎年のように川口浩がジャングルや洞窟に挑戦し、数多くのUMAや巨大生物を探す展開は多くの視聴者の心を鷲づかみにした。まさにいかにも昭和的な胡散臭い番組であった。平成に入ってからも、藤岡猛。が二代目隊長に就任し新シリーズを始めたりもしている。

 勿論、当時からツッコミの声は多く「川口浩より前にカメラマンや照明さんが洞窟に入っている」「襲ってくる未開人の腕に腕時計の形をした日焼けのあとがあった」「必ず若手の隊員が川に落ちたり、罠にかかったりする」「川口浩や隊員に襲いかかる蛇やサソリがまるで死んだように動かない」という指摘がなされていた。かと言って「コンプライアンス違反だ」と言ったような、野暮は批判はなく、そのフェイク部分も含んだ番組そのものに愛があったといえよう。




 その頃、笑福亭鶴光の門下から破門された男・嘉門達夫がパロディソングで伸びてくる。「ヤンキーの兄ちゃんのうた」で一躍人気者になった彼は、「ゆけ!ゆけ!川口浩!!」でその人気を不動にした。この歌の許可をとりに行ったとき、川口浩は苦々しい顔をしたものの、快く許してくれたという。流石、川口隊長である。

 そもそもこの川口浩探検隊という企画は立ち上げ当初から”やらせ”が前提であった言われている。かのオカルト作家・中岡俊哉氏 の関係者の証言によると、番組に会議に参加していた中岡はあまりの酷いやらせ演出にその席を立ったという。流石のエンターテイメント作家・中岡さえも辟易するような企画だったようだ。現在TBSの『世界がビビる夜』で的場浩司探検隊が放送されているが、そのブレーンを筆者こと山口敏太郎が勤めたようなものであろうか。因みにこの企画は、仕込みなしのガチで撮影に行っている。

 だが、その内容を役者として演じることでクリアすると決心した男がいた。それが川口浩である。つまり、川口浩は、フィクションとして演じきったわけだ。なかなかの役者魂である。




 また、当時のスタッフにインタビューすると、現地での探検は実際に行うものの、追加撮影のシーンなどは、赤坂プリンスの裏の林など首都圏近郊ですましたこともあるらしく、よく見ると植物相がまったく違うシーンもあるようだ。また、局内では髑髏の模型や弓矢などの小道具が廊下に増えてくると「そろそろ探検隊の季節だな」と思ったらしく、ある意味風物詩となっていたらしい。なんとも緩くて素晴らしい昭和の一風景ではないか。

 現在、川口浩探検隊を小馬鹿にしたり、昭和の幼稚な番組としてはき捨てる評価もあるのだが、この事件に筆者は反論したい。川口浩探検隊は、ひと時流行った『ブレアウィッチ』に代表されるモキュメンタリーの元祖ではないだろうか。

 リアルとフェイクの間をさまよう探検隊、その輝きは21世紀の今も失われることはないのだ。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集)

「水曜スペシャル 川口浩 探検シリーズ」

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