光に導かれるが如く光触寺へ【その弐】「頬焼阿弥陀(ほほやけあみだ)」

昼の休憩時間が過ぎたので御朱印を頂きに行くと、何人か先客がいたので様子を見ていると、寺の住職がその都度、手書きで御朱印を書いて『念仏※①』を唱えてから手渡しをしていた。自分の番になり、同じように受け取ってみると妙に有りがたかった。縁起も販売していたので縁起も受けとると、頬焼阿弥陀縁起という、本尊の阿弥陀如来像についての伝記が書かれていた。






≪頬焼阿弥陀≫

建保3年(1215年頃)、奈良方面から『大仏師の運慶※②』が鎌倉から招かれて、町局(まちのつぼね)という人物から48日の期限内で阿弥陀さまを造るように言いつけられました。運慶は苦慮しながらも48日かけて立派な阿弥陀さまを造りました。町局はとても喜んで大切に阿弥陀さまを祀り、信心して香を焚き、花を供え、念仏も怠りませんでした。

町局の家には、信心深い万才(まんざい)法師というお坊さんが仕えていたのですが、ある日、家の物がいつも無くなるので、人々は万才法師を犯人にしてしまいました。

そこで、町局は下人の源二朗に、万才法師を戒めて顔に火印を押すように命じました。

町局は急用が出来てしぶやまで出かけることになったので、源二朗は町局の留守中に、いいつけられたとおりに万才法師を縛って、馬具のくつわに使用されている金具を焼き、左の頬に焼印を押しました。ところが、万才法師の頬には焼け跡がつきませんでした。源二郎は町局が戻ってきたら、いいつけどおりになっていないのを見て怒るだろうと思い、もう一度焼印を押してみましたが、万才法師の頬にはいっこうに焼け跡をつけることが出来ませんでした。翌日、家に帰ってきた町局は不思議な夢を見ました。夢の中に阿弥陀さまが現れて泣き悲しみながら、「なぜ、わたしの顔に焼印を押すのか。」とおっしゃるのです。

町局は驚いて目を覚まし、本尊の阿弥陀さまを見ると、頬に焼け跡があるではありませんか。そして、源二朗に万才法師の火印を調べさせると焼け跡がありませんでした。

「阿弥陀さまが身代わりになられたのだ。」と考え、悲しみと喜びで胸が一杯になりました。人々は、法師がいつも念仏していたので阿弥陀さまに助けられたのだと思いました。

それから亀ヶ谷から仏師を招いて阿弥陀さまの頬の焼け跡を修理させましたが、何回修理しても直りませんでした。後に町局は日企ヶ谷に岩蔵寺を建て、この本尊をお祀りしました。この寺は日印堂とも呼ばれたそうです。町局は出家して、73歳でこの本尊に手を合わせ、念仏しながら亡くなったということです。また、万才法師は大磯に庵を作って住み、益々一心に念仏を唱え、『南無阿弥陀仏※③』の六字を書いて生活し、極楽へ往生を遂げたということです。

参考・光触寺縁起、ウィキペディア




※①念仏とは、仏の姿や徳を思い浮かべたり、仏の名を口で唱えること。浄土教では、阿弥陀仏を思い浮かべ「南無阿弥陀仏  」と口で唱えることを指す。お経とは、釈迦の教えを誰でも読めるようにまとめたものを指す。住職が御朱印を書き終えたときに唱えていた言葉は良く聞き取れなかったのですが、触光寺は時宗のお寺なので、念仏で良いと思います。

※②仏師(ぶっし)は、彫刻家の中で特に仏像を専門に作る者を指す。大仏師は仏師の尊称で、奈良時代は国家的仏像製作事業の責任者を指す。平安以降は私的仏師集団の指導者や棟梁の称となり、有力寺院に所属する仏師の統率者の称ともなった。

縁起に記されているのは【仏師の雲慶】であるが、運慶が大仏師として称される以前に使用していた名前であり、雲慶と運慶は同一人物なのでここでは大仏師運慶と表記した。

※③南無阿弥陀仏は阿弥陀如来の名号。




御朱印と縁起を受け取る際に、国の重要文化財とされている光触寺に伝わる絵巻物の頬焼阿弥縁起と本堂に祀られている阿弥陀三尊像を拝観したい旨を住職に伝えると、頬焼阿弥陀縁起は鶴岡八幡宮の境内にある鎌倉国宝館に預けてあり、不定期で鎌倉国宝館にて御開帳される予定と聞いているが、御開帳されたと聞いたことはないとのことであった。阿弥陀三尊像の方は、特殊な鍵を掛けて保管しているので、前もって団体で予約をしなければ拝観は受け付けていないと言われたので、読者の方で光触寺を参拝されたい方は、前もって阿弥陀三尊像拝観の予約を交渉してから訪れては如何だろうか。因みに、本堂にある「光触寺」の額は後醍醐天皇が書かれたとされている。

(前世滝沢馬琴 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

光触寺所在地など
拝観:9:00~16:00 ※本尊拝観は団体(10名以上)のみ受付【要予約】
住所:248-0001 神奈川県鎌倉市十二所793
電話:0467-22-6864
※事前にご自身でご確認の上、参拝して下さい。

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