【実話怪談】遠野の伝説「松川姫」

(岩手県、Gさん、男性、伝聞)

 「前にいう松崎沼の傍らには大きな石があった。その石の上へ時々女が現れ、また沼の中では機を織るひの音がしたという話であるが、今はどうかしらぬ。元禄頃のことらしくいうが、時の殿様に松川姫という美しい姫君があった。年頃になってから軽い咳の出る病気で、とかくふさいでばかりいられたが、ある時突然とこの沼を見に行きたいと言われる。家来や侍女らが幾ら止めても聴入れずに、駕籠に乗ってこの沼の岸に来て、笑みを含みつつ立って見ておられたが、いきなり水の中に沈んでしまった。そうして駕籠の中には蛇の鱗を残して行ったとも物語られる。ただし同じ松川姫の入水したという沼は他にも二、三か所もあるようである。「遠野物語拾遺31話(松川姫)」




 この遠野物語拾遺に記述のある松川姫を調べてみると、遠野を統治した南部氏26代目の殿様の娘に”トリ”という姫がいるんですね。どうもこの姫が松川姫らしいんです。このトリという姫は松川という地で川に飛び込んで死んだのだそうなんですが、それから松川姫と呼ばれるようになったのだと聞いています。

 しかし、その松川姫の死後、城中で怪事が頻繁に起こるんですね。その為、東禅寺後の庭池の中島に祀ってあった弁才天と松川姫を合祀し、松川神社として祀ったら怪時はピタリとやんだそうです。更に時代が流れ、大正11年に庭の池があった場所は埋め立てられ、高等女学院の敷地となって工事が進められていたんだけど、その工事中に頻繁に不可解な事故が相次いで起こったので、古い伝説にのっとり池を作りその傍に松川姫の祠を作り祀ったら、やはり事故はピタリと止まったそうです。




 また、昭和42年前後までは、現遠野東小学校の建物は木造校舎でした。当時、中庭には池があり、そこに封印?された、石があったというんですよ。 その石は、その松川姫の霊を慰める為にか、そこに置かれたものだと言われてました。その木造校舎時代、当時の小学校の校長が、宿直で深夜に校内を見回っている最中に、何度となく煌びやかな衣装を纏ったお姫様の姿を目撃したと言われています。それは多分、池で死んでしまった松川姫が、この世を名残んで現れたものではないでしょうか。しかし、2度にわたる不審火により、木造の小学校は燃えてしまい新たに鉄筋コンクリートの校舎に変わり、池も埋め立てられ、封印されていた石の所在もわからなくなったと言います。

 それが、現在の遠野小学校なんですね。

(監修:山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)

画像は『遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫) 』表紙より





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