呪術・魔法

燃え盛る火炎の中に「赤坊主」

 赤坊主は江戸時代の随筆集「閑窓自語」にて紹介されている妖怪である。

 日野一位資枝卿という人物が若い頃、家人や家来たちを集めて酒を飲みながら世間話などをして過ごしていたところ、夜更けになって屏風の後ろが急に明るくなった。

 ちょうど手燭を持って人が来るような気配がしたため、居合わせた人々が怪しんで屏風の陰から覗きみると、燃え盛る火炎の中に真っ赤な法師姿の者が立っているのが見えた。あれは何だ、そもそも人なのかと怪しんでいるうちに、その法師の姿はかき消えてしまった。

 家主である日野一位のいうことには、「あれの正体は不明であるが、一家に吉事がある際に現れるものだ」といい、皆で赤坊主と呼んでいるのだと語ったそうだ。

 同じように赤ら顔で明かりを伴って現れる妖怪に提灯小僧がいるが、こちらはかつて人が殺された場所に出没する、子供の姿をしているなどの違いがある。

(田中尚 山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)