世界最大の珊瑚礁と美しい自然で有名なオーストラリアのグレートバリアリーフには、「モハモハ」という伝説の海龍が住むと先住民であるアボリジニたちは伝えている。
龍、と言われているがヘビのように長い首を持ち、カメに似た胴体と魚類に似た尾を持っているとされている。体色は濃い灰色や茶褐色、足はヒレのようになっているとも、指が分かれているともされている。
このモハモハは古くから先住民たちの間では目撃されていたようで、最古の目撃証言は1880年代にまでさかのぼる。
1980年にはこの地を訪れていた教師であり、博物学者のシャーリー・ロヴェル女史がグレートバリアリーフのマグネティック島にて海岸に這い上がる巨大な生物を目撃。その生物の姿がアボリジニの伝説にあるモハモハによく似ているとして、オーストラリアン博物館へ報告を残している。
なお、この事件の再現イラストも残っており、そこにはネッシーのようでありながら、背中が大きく丸く盛り上がり魚のように二つに分かれた尾びれを持った、巨大な生物の姿が描かれている。
そして2013年、デヴィット・ヘロン氏が動画でモハモハの姿を撮影。
画像を見た人々が伝説のモハモハではないかとして、オーストラリア中を騒がす出来事となった。確かに、その動画に写った謎の生物の姿はネッシーのように長い鎌首をもたげた黒いモハモハの姿が写っており、丸みを帯びた背中の一部と反った尾の先端部も僅かながら確認できる鮮明なものであった。
しかし、この動画は後にモハモハではないことが判明している。
撮影された時間は満潮時だったのだが、干潮になると浅瀬に存在する岩山や沈没船が顔を出してしまうのだ。つまり、2013年に撮影されたモハモハは岩などの大半が上手く波で隠れて未確認生物そっくりの姿になった所を捉えた偶然の産物だったのである。
撮影したヘロン氏は現地在住なのでこの事実を知っていたが、興味を持って観光に来てくれる人が増えればと思って、ジョークで撮影しネットに上げた所、思った以上の反響があって注目を集めてしまったというのが真実のようだ。
しかし、昔から伝説等が存在していることもあって、未だにモハモハは実在しているのではないかと考えている人は多い。
オーストラリアの未確認生物研究家レックス・ギルロイ氏は、古代の海棲爬虫類の生き残り説を上げているが、もしかすると未知の生物、新種のウミガメ等が棲息しているのかも知れない。
現地にはモハモハの姿をイメージしたオブジェが公園に建てられている。いつの日か、モハモハが再び我々の前に姿を現してくれるのかもしれない。
(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)