UFOと遭遇し、宇宙人に連れ去られてしまう。そんな体験を「アブダクション・ケース」と呼ぶ。
アトラスでも6歳から同じエイリアンと接触している女性や、UFOに誘拐、ICチップをインプラントされた等の様々なケースを紹介している。
そんなアブダクションケースで最も有名であり、米国で発生した初のアブダクションケースであると言われているのが、ベティ・ヒルとバーニー・ヒルの夫妻がエイリアンに浚われたとされる第四種接近遭遇ケース「ヒル夫妻誘拐事件」である。別名「ゼータ・レティクル事件」とも呼ばれている。
1961年9月19日の夜のこと。夫妻は休暇先のカナダからポーツマスの自宅に向かって、車を走らせていた。ニューハンプシャー州インディアンヘッド付近のハイウェイに来たとき、上空にまばゆい光を感じた。夫妻が見上げると上空30mあたりに、巨大 UFOが浮かんでおり、一列の窓も確認できた。さらに側面には、青白い照明と赤い照明が確認できた。興奮したバーニーは車を降りて、UFOまで近づき確認したが、窓の中にはエイリアンのような生命体が確認できた。
恐怖に駆られた夫妻は、車を急発進しようとしたが、車から謎の振動が聞こえ、耐え難い睡魔に襲われた。夫妻が再び目を覚ましたのは、最初の場所から60㎞も離れた場所であった。しかも、時間が異常にかかっている。
その後、夫妻の体調が悪化する。ベティは不可解な夢に悩まされ、バーニーも不眠を訴えるようになり、ベンジャミン・サイモン博士によって催眠治療を受けることにした。退行催眠の結果、夫妻は空白の2時間の間にエイリアンによって拉致され、人体実験を受けていたことが判明した。しかも、ベティがエイリアンから教えられた星図は、レティクル座ゼータ連星系をめぐる惑星の一つという分析する研究家もいる。
だが、この夫妻の体験に関して、模造記憶であるとか、誘導催眠であるなどの批判的な指摘も多い。また、夫妻が当時では珍しい「黒人の夫と白人の妻」という組み合わせだったことが精神的なストレスとなり、夫妻が幻覚を創り上げたのではないかという意見もある。
山口敏太郎は、ひょっとしたら差別主義団体に拉致されて暴行などを加えられてしまい、その恐怖体験から逃れるために「宇宙人に攫われていた」というシナリオを脳内でつくり上げていたのではないか、とする仮説を掲げている。「ヒル夫妻事件」は単純に見えて、かなり根の深い事件であったかもしれないのだ。
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Unsealed Alien Files Barney and Betty Hill
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
動画&画像 ©Unsealed Files YouTube