大物写真家Bと言えば、何十年に渡り活躍する日本を代表する現役フォトグラファーである。
また、Bは写真家としてではなく、ヅラ着用家としても業界ではつとに有名である。
高級ウィッグを使用しているのだが、さすがに撮影中は照明などの影響で中身が熱くなるらしく、時々カツラの蒸れを和らげる『ヅラ待ち休憩』が挟まれるという。
しばらく休むと、フットワークの軽いBは、「やあ、待たせたね」と元気に帰ってくるが、時折髪の毛の向きが変わっているらしい。しかし、恐ろしくて当然誰も指摘は出来ない。
だが、さすが一流の写真家である。
Bはテンションがノッてくると、「ヅラ待ち休憩」も挟まず撮影を続けることもある。
そうなると、カツラの下が痒くなるらしく、Bは熱心にシャッターを押しながら、ヅラと頭皮の間に指を突っ込んで、ボリボリと掻き始めるという。
端から見ると、頭皮の奥深く、まるで頭蓋骨の中まで指を入れて搔いているように思えて、その恐怖といったら尋常ではないという。
(松田ケン ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)
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