以前アトラスでは、外れそうなカツラを抑えながら奇跡のでんぐり返しをした関西の有名文化人Aの話をしたが、今回も似たような御仁の伝説を紹介しよう。
ある番組で地方ロケがあり、そのA先生もブッキングされた。撮影中は強風がA先生の頭に当たらないように番組スタッフは尋常ではない配慮をし、また頭部が蒸れないように細心の注意を払っていた。
彼らスタッフの懸命な努力により無事に撮影は完了したが、その夜が問題であった。
日ごろからズラ…もとい!ウィッグを被っていることを知らないフリしているスタッフの気持ちも知らずに、A大先生は大浴場で風呂を浴びたいと言い出したのだ。
幸い、ロケ隊以外に宿泊客がいなかったために、A先生の入浴中は大浴場の入り口に番組制作の若手スタッフを見張りに立て、A先生には「ありのまま」の姿で心の底からお風呂を楽しんでもらうことにした。
スタッフはこのミッションを『絶対に覗いてはならないツルッの恩返し作戦』と名付け、交代で風呂場を見張った。なんと涙ぐましい努力であろうか・・・。
しかし、スタッフの一名がほんの出来心から、誘惑に駆られて大浴場の中でリラックスしているA先生をチラ見してしまった・・・すると、衝撃的なシーンが目の前に繰り広げられていたのである。
ありのままの姿になったA先生の横にもう一人、見たこともないオッサンのような影が佇んでいるのが、湯気にかすんで見えるのだ。しかも、仲良く並んで湯船に浸かっているではないか。
「どうなってるんだ!!!横にいる男は、一体全体誰なんだ???」
目をよく凝らすスタッフ・・・よく見るともう一人の男の正体は・・・そう!外したカツラ、もとい!ウィッグを体育座りしたA先生自身の膝に被せた、なんとも不思議でミステリアスなオブジェであった。
この時、このスタッフが腹の底から沸き上がる笑いを我慢できなかったコトは、貴方の想像通りである。
(松田ケン ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)
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