2016年7月、Yahoo!オークションにて「幻の逸品」として大正時代に発売されたとあるレコードが出品された。
「萬國特許 かつら 春團治 もの、いふ せんべい」というタイトルのレコードだ。
何のことだかわからない人も多いかと思うが、これは明治末期から昭和のはじめまで活躍した落語家、初代桂春団治(1878年~1934年)の落語を収録したレコードである。
何が幻なのかというと、このレコードは「もの、いふ せんべい」なのだ。つまりお菓子の「せんべい」で作られたものなのである。
なぜ、こんなふざけたレコードが誕生したのかというと、大正時代、子供用に作られた童謡を収録した「せんべいレコード」がプチブームになった時期があり、当時の爆笑王・春団治は「落語を収録したせんべい出したらウケるとちゃうか?」ということで「聴き飽きたら食べる」というコンセプトのもと史上初の「落語せんべい」が誕生したのだ。
ところが記録によると、1926年に3日間限定で関西でのお祭りでのみ発売されたもので一般にはほとんど流通していない。
さらには多くのレコードが雨による湿気で破棄されたため、現物が残っているかどうかもわからない、まさに幻のレコードだったのである。
出品されたレコードは残念ながら盤自体はなくなっているが、缶は当時のままの状態で残っており、これだけでも十分に非常に価値があるものと言える。
現在、オークションは終了しており35万円の高値で取引がなされた後ではあるが、綺麗な空き缶がまだ日本に残っているということだけも貴重な発見だったといえる。
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※画像は出品ページのキャプチャ
(網元メロンパン ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)