人類進化の定説を変える?「最も保存状態の良い」ネアンデルタール人の骨格

「世界で最も保存状態の良いネアンデルタール人の骨格」が発見されたことで、人類の進化についてこれまで知られていたことがすべて変わる可能性がある、と専門家が述べたため注目を集めている。

このネアンデルタール人の標本は俗に「アルタムーラ人」と呼ばれているものである。

アルタムーラ人は、南イタリアのアルタムーラの町近くのラマルンガ(Lamalunga)カルスト洞窟にて1993年に発見された。鍾乳洞の中に存在したこともあり、全体が方解石で覆われていたため、破損を恐れて一度も動かされたことはなかった。

その条件故に「これまで発見されたネアンデルタール人の標本の中で最も保存状態が良く、最も完全なものである」可能性が高いと考えられている。

ローマのサピエンツァ大学の研究者であるジョルジオ・マンツィ氏は、「アルタムーラ人」の骨について「ネアンデルタール人、人類という種、そして人類の進化全般に関する我々の知識にとって非常に興味深い、本当に驚くべき発見である」と述べている。




事実、マンツィ氏を含めた科学者たちは、アルタムーラ人からこれまでに見たことのない特徴の組み合わせを発見している。そのため、更なる研究のためにはアルタムーラ人を鍾乳石の中から取り出し、移動させる必要があると主張している。

「アルタムーラ人の骨は鍾乳洞の奥深くにあり、特殊な器具を使わないと到達できません。その上、骨格は何千年もかけて蓄積された鉱物に覆われているため、骨格の一部しか見ることができず、分析がさらに困難になっています」

アルタムーラのネアンデルタール人の研究プロジェクトに携わる科学者たちは、アルタムーラ人の骨を掘り出し、適切な機器を備えた研究所で分析したいと望んでいるが、発掘にはイタリア当局の明確な許可が必要となっている。現状、修復不可能な損傷を与えることなく標本を発掘する計画が立てられるまでは、イタリア当局は許可を出さないと考えられている。

なお、アルタムーラ人のスキャンデータを元にした頭蓋全体のデジタル復元は既に行われている。

(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 David Mark / PIXABAY

 

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