
地球以外に太陽系で生命が存在する可能性が高いとみられる星は、と問われたら皆さんはどの星を思い浮かべるだろうか。現在NASAが探査機を送り込んで生命の痕跡を探している火星を候補にあげる人もいるかもしれないが、専門家からは天王星も候補にあがっている。
天王星は地球から約25億8650万~31億5550万キロ離れた巨大なガス状惑星だ。天王星の距離までいくと太陽の光や熱は届きにくくなるが、天王星の周囲を周回する27個の衛星のうち2個は、その地表の奥深くに活発な海があると信じられている。
その衛星はミランダとアリエルの2つで、いずれも宇宙へ吹き上げるほど火山活動が活発であり、凍った地表の奥深くに潮汐力によって液状に保たれた地下水がある可能性が極めて高いとされている。
地球を例に考えると、このような極限環境でも微生物による独自の生態系が存在していることが発見されていることから、天王星の衛星でも生命が存在している可能性が極めて高いと考えられている。
この説は1986年に宇宙探査機ボイジャー2号が天王星でフライバイしたときのデータを新たに分析した際に出てきた。
現時点でボイジャー2号は、太陽系の果てにある天王星を訪れた唯一の宇宙船となっている。ジョンズ・ホプキンス大学の応用物理学研究所のチームはミランダとアリエルの放射線と磁気のデータを解析した結果、天王星系にプラズマ粒子を加えていることを示唆する結果が出たとしている。プラズマは電気を帯びた気体で、地球上でも雷などのさまざまな形で現れることがある。
研究の主執筆者である宇宙科学者のイアン・コーエン氏は、「高エネルギー粒子の測定が、海洋惑星を発見するきっかけとなることは、珍しいことではありません。同様のデータは木星の衛星エウロパと土星の映像エンケラドスが海洋衛星であるという最初の手がかりを科学者に与え、太陽系で初めて確認されました。このような衛星では地球外生命体が存在する可能性が最も高い場所であると、研究者たちは考えています」と語る。
一方でコーエン氏は、既存のデータでは天王星の2つの衛星のプラズマ粒子の発生源を特定することができないままだと述べている。エンケラドスで見られるような蒸気プルームか、あるいはスパッタリングと呼ばれるプロセスの結果である可能性があるという。
どちらの作用であっても、衛星から宇宙空間に放出される粒子の流れができ、電磁波を発生させるので、ボイジャー2号がその活動を検出したものと考えられるという。そのため、「このデータは、活発な海洋衛星が存在するという非常にエキサイティングな可能性と一致しています」とコーエン氏は見解を示す。
現在天王星への期待は非常に高まっており、昨年にはNASAが次に行うべき惑星ミッションは約5466億円をかけた天王星への帰還ミッションであるという提言が研究家から出た。
「私たちは数年前から、高エネルギー粒子と電磁場の測定は宇宙環境を理解するためだけでなく、より壮大な惑星科学の調査に貢献するためにも重要であると主張してきました。ある星系に行き、直接探索することがいかに価値あることかがデータによって示されているのです」とコーエン氏は語っている。
ちなみに、既に太陽系の惑星に関しても領有を宣言する国が出てきている。
ロシアは金星を所有していると示唆した後、天王星の一部も購入。天王星管理不動産委員会と信託会社(RECTUM)も設立し、遠い惑星の土地の一部を2.5平方キロあたり約1289円弱で売り出したのだ。先見の明があると言うべきか、気の早い話と言うべきか。なお、欧州宇宙機関ESAは来月、木星に探査機Juiceを送り、木星の衛星エンケラドゥスの氷の下にある海から生命の証拠を探す予定である。
宇宙探査や宇宙開発も、ついに太陽系全体へ進出していく時代になったようだ。
The truth is out there – possibly in Uranus 🛸
Another look at data gathered nearly 40 years ago suggests two of the planet’s moons may host active oceans beneath their frozen surfaces. 🌝
These could be potential homes for alien life. 👽https://t.co/tWnivaolFx
— Euronews Next (@euronewsnext) March 22, 2023
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