
インドにて、数々の家屋や車を破壊し地元の人々を恐怖に陥れていた凶暴なゾウが捕獲されて話題になっている。
22日、パラッカド・タスカ-7(PT-7)と呼ばれていたインドゾウがインドのケーララ州パラッカド地区で捕獲された。このゾウは20歳で体重3.5トン、2年間にわたり近隣の村々を荒らし回っていたという。
PT-7の捕獲を計画した野生動物獣医のArun Zachariah博士によれば、昨年末に農夫が腕を引きちぎられ、別の男性も殺害されてしまったため、何か手を打たなければならないという話になっていた。
そしてZachariah博士主体で、いつも象が出没していた場所の森を切り開き、大きなユーカリの丸太でできた高さ約5.4メートルの囲いを作り、象を閉じ込めることに成功。捕獲作戦には72人の作業員と3頭の飼いゾウが参加し、朝7時にキシラジンとケタミンの麻酔薬でPT-7を撃って沈静化させたという。
通常、ゾウを麻酔銃で撃つ際には尻の部分を狙うそうだが、PT-7の狂暴性を鑑みて左の首の部分にダーツを打ち込んだという。まずPT-7がダウンするまでに30分かかり、鎮静剤は5回補充する必要があった。その後、7時間かけて沈静化した PT-7に目隠しをし、3頭の飼いならされた象がローリーへ誘導して乗せ、ワヤナドのエレファント・キャンプに移送された。
「教科書のような作業だった。すべてが完璧だった。素晴らしいチームワークと連携、そして3頭のクムキ(飼いならされた象)も本当によく働いてくれました」とZachariah博士は地元メディアのThe Hindu紙に語っている。また、PT-7については「非常に冷静だった。人間に慣れているのか暴れる様子を見せませんでした。彼はもう自由に動けないことを悟っていたようです」とタイムズ紙に語っている。
PT-7は、この地域における「人間と象の衝突」の9割を担っていたと言われている。人間の開発によってゾウをはじめとする野生動物が人間とより密接に接触するようになったため、この衝突は増加の一途をたどっているという。
なお、PT-7は現在(彼が恐怖を与えた村にちなんで)ドーニと名付けられ、2ヶ月の訓練を経た後に半野生状態に解放される予定だという。
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 Alexander Strachan / PIXABAY