アンチエイジング技術が更なる収入格差を生み出す!

全ての人が免れることのできない、死。もし老化を遅らせたり、止めたりすることが可能であれば……という願いは昔から人々が抱いてきた。秦の始皇帝が不老不死の霊薬を求めていたという話などが有名だろう。

ここ数世紀で科学と医学は驚くほど進歩したが、老化を止めたり遅らせる技術を得るには至っていない。だが、もし金銭的に余裕があれば、多くの人々が自然寿命をはるかに超えて寿命を延ばすことになるようになるかもしれないと専門家は語る。

ユトレヒト大学の生命倫理学者であるクリストファー・ウェアハム氏は『フィナンシャル・タイムズ』紙の最近の記事で、こうした裕福な不死身の人間が支配する未来について、かなり不穏な予測を行っている。

「例えば、老齢化という誰しもが持つ身体の衰えに対するワクチンのようなものができたとしましょう。これは、現存するあらゆる種類の不平等を悪化させる可能性があります。権力者がその立場に長くいればいるほど、富が蓄積され、富裕層になればなるほど、政治的影響力が増します。例えば世界の主要な出来事に影響を与え、文明の未来を形作るのに十分なパワーとお金を持つ、年齢不詳の億万長者が出てくるかもしれないのです」




標準的な生涯で何十億ドルもの個人資産を獲得することが可能な人物が何世紀も生きた場合、その資産が天文学的なレベルにまで膨れ上がる可能性も考えられる。その富を高額な老化防止治療につぎ込んでしまえば、再びその人物の寿命が伸び……と、いつまで経っても特定の人物がトップに君臨し続けることになってしまう。

その人物が公明正大な人物であれば、長い間その地位に着いても問題ないかもしれない。しかしトップが交代しない組織はいずれ硬直化が進み、下で働いている人たちとの格差が広がり、やがて衰退の道をたどることと思われる。

昨年は亡くなった後も社長が企業のトップに居続けられるよう、AIを活用して『デジタル上での不死』を実現するというプロジェクトも出て来ていたが、本当に不老不死の技術は現実のものとしても良いものなのだろうか。

今一度考えるべき時に来ているのかもしれない。

(勝木孝幸 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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