
ナイル川のほとりにある遺跡の調査を続けていた考古学者たちが、「金でできた舌」を持つ古代エジプトのミイラを多数発見して注目を集めている。
この一風変わったミイラが出土したのは1989年に発見された、ナイル川中央部のデルタ地帯にあるクウェイスナ墓地である。紀元前300年頃から紀元640年頃まで多くの人が居住し利用していたとされており、これまでにも多数のミイラが出土していた。
今回、新たに掘り起こされた遺跡の拡張部分でコガネムシや蓮の花を象った金塊等の副葬品と共にミイラも複数発見されたのだが、そのミイラの口の中には金でできた舌が入っていたのである。
金の舌を持つミイラが発見されたのは今回だけではない。2021年、エジプトの別の古代遺跡を掘っていた考古学者が口が開いた頭蓋骨を発見、口の中に黄金の舌の形をした物体が入っているのを確認した。その後、さらに同様の特徴を持つ3体のミイラ(2500年以上前に防腐処理された男性、女性、子ども)が発見されているものの、「金の舌」にどんな意味が隠されているのかは今でも謎のままだ。
#Archaeologists in #Egypt have found a number of ancient mummies whose tongues had been removed and replaced with golden tongues! It is believed the gold tongues were given to #mummies so that they could speak to the judge of the dead https://t.co/O38pfY4iSl pic.twitter.com/IZksch3HRo
— Ancient Origins (@ancientorigins) November 27, 2022
専門家の見解としては、恐らく古代エジプトの冥界の神であるオシリスを鎮め、死者が来世に向かうのを助けるためにミイラ職人が舌を金の舌と取り替えたのではないかという仮説がある。
オシリスは騒音や言葉を嫌うと信じられており、葬儀の際にはオシリス神を満足させるために「沈黙」が強制されたと考えられている。そのため、ミイラの舌も金細工に変えたのではないか、というものだ。それでなくても古代エジプトでは、葬儀のための装飾品に金がよく使われていた。
金は太陽神ラーの肉であると信じられていたこともあり、黄金の舌は暗闇が続く死後の世界で魂を導く光を象徴しているのではないか、という説も存在している。
しかし関係者によれば、これらのミイラは状態が悪いものが多いため、当時の人々が遺体に込めた意味を解釈する事が非常に難しいとのことである。早急に「金の舌」の謎が解ける日は来ることを願いたい。
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 Ministry of Tourism and Antiquities / Facebook