海面上昇により国土消失の危機が迫るツバル、国全体を「メタバース」へ

地球温暖化による海水面上昇により、国土が消えてしまう可能性のある国が多数存在している。太平洋の島国であるツバルもその一つだ。そんなツバルが国家存亡の危機に対応するため、なんとメタバースの世界に自国を作ることを計画して注目を集めている。

この発表は現在エジプトで行われているCOP27の会場にてツバルのサイモン・コフェ司法・通信・外務大臣が行ったデジタル演説中に出されたものだ。

温暖化が進んで国土が消滅するという「最悪のシナリオ」を考慮し、メタバース世界にツバルの美しい島々を再現し、豊かな文化を保存するという計画を述べ、ツバルの「国家としての3つの側面」がメタバースで再現される可能性について語った。

3つの側面は領土、文化、主権。近年の3D技術の進歩を鑑みると、ツバルの領土を美しく、没入感のある3Dで再現する事は十分に可能であろう。現時点でもWEB上に独自の文化を維持できる完全な仮想インタラクティブ空間を持つことはできる。

それにしても、技術的にはデジタル空間に「双子のツバル」を産み出す事は可能だが、はたして本当に仮想空間に主権のある土地を有する事はできるのだろうか。




これまでにも、政府が位置情報機能を利用して、その仮想的なアナログを作るという実験は行われてきた。例えば、エストニアのe-residencyは、エストニア人以外が会社登記などのサービスを利用するために取得できるオンライン専用の居住形態だ。

また、オンライン・プラットフォーム「Second Life」上に仮想大使館を設置した例もある。しかし、国全体を定義する要素をまとめ、デジタル化するには、技術的にも社会的にも大きな課題がある。ツバルの国民は現在約1万2000人しかいないが、それでもこれだけの人数が没入型の仮想世界でリアルタイムに交流するのは技術的にも、国民の心情的にも容易ではないだろう。

実際、コフェ氏も「メタバースがツバルの問題に対する答えにならない」ことをよく理解している。今回の提言はあくまで温暖化対策に多くの国が真剣に取り組むべきというアピールであって、化石燃料不拡散条約などの取り組みを通じて、気候変動の影響を軽減することに注力する必要があると明言している。

その上で、コフェ氏はこのプロジェクトの最初の取り組みとして、ツバルの価値観であるオラガ・ファカフェヌア(共同生活システム)、カイタシ(共有責任)、ファレピリ(良き隣人であること)に基づく外交を推進することで、これらの価値観が、気候変動と海面上昇に対処して世界の幸福を実現するという共有責任を他の国々に理解してもらう動機になればと願っている。

ツバルが、その他多くの国がサイバースペースにのみ存在する国にならないよう、国際的に環境問題に取り組むべき時期に来ている。

(加藤史紀 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 Global Environment Facility (GEF) on VisualHunt

 

関連記事

最近の投稿

ページ上部へ戻る