
この世で最も危険な場所はどんな場所だろうか。海外のYouTuberが、「殺人からも逃れることができる」という場所に突撃する動画を配信して話題になっている。
その場所はアメリカの有名な国立公園、イエローストーンの片隅にあるという。イエローストーンは毎年多くの人が観光に訪れる風光明媚な地だが、公園内部に存在する50平方マイルの地域はアメリカ国内の法律上で無法地帯となっているというのだ。
I visited the Yellowstone Zone of Death
そんな危険地帯に突撃したのはYouTuberのトム・スコット氏だ。彼は自身の動画の中で、このような奇妙な法律的空白地帯が存在する理由を詳細に説明している。
「米国で犯罪を犯した場合、州または連邦政府によって起訴される可能性があります。しかし、イエローストーン国立公園は特別であり、その国境内では連邦政府しか起訴できません。連邦法ではアメリカは19の地区に分かれていますが、イエローストーン国立公園は全てワイオミング州に属すると決定しました。しかし公園の一部、50平方マイルのエリアがアイダホ州にまたがっていたのです。米国憲法修正第6条では、犯罪で起訴された場合、州および地区の陪審員による裁判を受ける権利があると定められています。しかしこの奇妙な重複ゾーンで犯された犯罪については、陪審員はアイダホ州とワイオミング地区の両方に住んでいる人から選ばれなければなりません。そして、両方の条件を満たすこの地域の人口はゼロです。陪審員がいないということは裁判が行われないということであり、理論上は有罪判決が下されないということになるのです」
幸いにして、法律上の無法地帯であるものの、ここで殺人等の重罪はブライアン・C・カート法学部教授が2005年に発表したエッセイ『The Perfect Crime』で報告されて以来、確認されていないという。また、スコット氏も法律の抜け穴のある場所を訪れたからといって、ここで犯罪を犯すつもりはないと述べている。
今後、法改正がなされてこの無法地帯が解消される日は来るのだろうか?
(加藤史紀 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 David Mark / PIXABAY