闘牛場で相次ぐ事故!悪しき風習は利権!?

   画像 Brigitte Werner / PIXABAY

【相次ぐ闘牛場での事故】

コロンビア中部トリマ州エルエスピナルで6月26日に闘牛の試合が行われたが、 老朽化した3階建てスタンドの一部が崩れ、数十人がドミノ倒しのように地面に放り出され、少なくとも4名が死亡し、300人以上が負傷した。

催行されていたのは「コラレハ」という、一般市民が闘牛に参加し、牛に近付いた距離を競う行事である。同国では、これまでも闘牛の試合中の転落事故は相次いでいて、ペトロ次期大統領は「人や動物の死を伴うショーをこれ以上、許可しないよう求めます」とツイートしている。

【残酷すぎる闘牛】

闘牛は、牛と闘牛士が戦う競技だ。現在でもスペインの一部の地方やポルトガル、南部フランス、南米などで行われているが、いうまでもなく、牛は血塗れになりながら殺され闘牛士も怪我をする残酷な競技である。

近年は動物愛護・アニマルウェルフェアの観点から批判が強まっている。日本も、1975年に、中央環境審議会において、「メキシコ闘牛の公開は、好奇的な娯楽として行われることに正当化理由はなく、闘牛場において牛を追い回し、刀槍をもって刺し、最後に殺す行為は動物愛護管理法に反する」として、その開催に抗議する声があった。

Corridas de Toros
Corridas de Toros / Museum of Photographic Arts Collections

近年、動物愛護・アニマルウェルフェアの理念の浸透により、闘牛に限らずサーカスのような娯楽の場での動物利用を禁止を制限する国は増えている。

しかし、サーカスを禁止する国は37か国あるが、闘牛に関する禁止しているのはイギリスとスペインのカルーニャ州のみである。サーカスは庶民が参加するが、闘牛が国技とされる国では政治家や官僚も参加する利権の化しているので、規制しにくい為だ。

欧米の闘牛は原則的に人対牛の対決で、最後、牛は対決に勝とうが負けようが殺傷処分される。闘牛用の牛は、広い牧場で放牧されているが、試合前にいきなり狭い車に乗せられて闘牛場に運ばれていく。闘牛場では狭く暗いゲージに閉じ込められ、異常な興奮状態に追い込まれる。




そして、突如、明るく眩しく、観衆の大歓声に包まれた闘牛場に送り出されて行く。この時の牛の精神状態は異常なまで興奮している。闘牛場では、更に、目の前にはひらひらした大きな布が揺れていて、牛からすれば、何が何か分からないパニック状態だ。平常時は穏やかな牛も、ひたする突っ込んで行くという異常行動を起こすのである。

闘牛士(マタドール)は観客を楽しませる為に、牛を煽りつつなるべく試合を長引かせ、最後に心臓を突き刺し、とどめを刺す。逆に牛が闘牛士を瀕死の重傷を負わせ、時には死に至らせる場合もある。

闘牛士を襲うことを覚えた闘牛は二度と闘牛には使えない為、その牛は別の騎馬に乗った人間に刺し殺されることになる。

Corrida de Toros (5)
Corrida de Toros (5) / GonzalezNovo

【日本の闘牛】

日本でも「牛の頭突き」「牛相撲」のような牛と牛が闘う形式で、岩手県久慈市、新潟県二十村郷(長岡市、小千谷市など)、島根県隠岐島、愛媛県宇和島市、鹿児島県徳之島、沖縄県沖縄本島(うるま市、本部町、今帰仁村、読谷村など)、石垣島などの地域で闘牛が行われている。

日本の闘牛は神事が起源とされている為、 欧米のようにどちらかが死ぬまで戦わせることはない。

しかし、中には欧米のような残虐性を持たせる為に、敢えて牛の角をわざと削って尖らせて行われるもの、怪我しても獣医に見せない業者もいるので、近年、批判も多い。

環境省は2010年、動物愛護管理法(2000年施行)に基づき、「動物愛護管理のあり方検討小委員会」を設け、「闘犬、闘鶏、闘牛等、動物同士を闘わせることの禁止・規制の検討」もテーマになった。

当時の議事録によると、11年9月の第20回会議で、「闘牛は伝統芸能というより動物の殺し合いを楽しんでいる以外の何物でもない。少なくとも、そういった行為が行われているかどうかをチェックし、やはり禁止していかなければと思います」「新潟では血を流している牛を病院に連れていかないケースもあります」という発言があり、新潟では傷ついた闘牛を獣医にみせることが義務化された。

Bullfighting in Uwajima
Bullfighting in Uwajima / cotaro70s

尚、新潟の闘牛について、「牛の角突き」は国の重要無形民俗文化財と指定されていて、江戸時代後期に書かれた曲亭馬琴の読本「南総里見八犬伝」にも登場してる。地域の闘牛も沖縄県とうるま市は、2018年に伝統文化である闘牛を無形文化財として指定している。

このように、日本の闘牛も伝統文化とされているので、国としては規制しにくいのだろう。伝統文化といったら聞こえは言いが、悪しき伝統を廃止し、より良いものを取り入れていくことで文明は発展してきた。

日本の闘牛は、欧米よりは断然ましだが、牛は怪我をするリスクがあるという点は変わらない。また、「獣医にみせる」ということを義務つけても、日本の警察は動物虐待問題にたいしては優先順位が格段に低いし、守らない業者が必ず出てくるだろう。

人間の都合の為に無関係な動物を闘わせるのは、果たして本当に守るべき文化なのなのだろうか。「相撲」「頭突き」をしたいのなら、人間同士がスポーツを通じて行う方が、動物の犠牲も伴わず、はるかに文化的であるように思う。

文:深月ユリア(作者紹介:ポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血を受け継ぐ魔女占い師。ジャーナリスト、女優、ベリーダンサー、映画・イベントプロデューサーとしても活動)

著書
あなたも霊視ができる本 」文芸社
世界の予言2.0 陰謀論を超えていけ キリストの再臨は人工知能とともに」明窓出版

 

関連記事

最近の投稿

ページ上部へ戻る