いつの間にか友達に…謎の女性セリーン・デルガド・ロペス【後編】
- 2022/6/18
- アーバンレジェンド, 都市伝説
- FACEBOOK, セリーン・デルガド・ロペス

だが、名前と顔写真が存在する以上、モデルになった女性はいるはずだ。調べてみたところ、この女性は今から30年前に行方不明になったメキシコ人女性で、メキシコのテレビ局の放送する「行方不明者」コーナーで紹介された。
この時の動画はネット上にも公開されたが、すぐに削除されてしまった。しかし、放送やネットの動画を見た人たちの印象に強く残る「不気味な画像」だったため、「彼女は何者か?」とネット上で話題になった。しかし、実はこの一連の流れそのものがテレビ局の仕掛けたマーケティング・キャンペーンの一環であった。
視聴者達を怖がらせるために意図して作られた架空の「行方不明者捜索コーナー」だったようで、まんまと多くの人々が引っかかったのだ。
画像 facebook
ところがこの事件から年月が経ち、現代になって「勝手に友達を増やす謎の女性アカウント」として人々の話題に上るようになってしまった。発端は恐らく、以前放送された動画を見た人が流した噂なのだろうが、人々の間で広まるうちに様々な特徴が付け加えられ、「いつの間にかFacebookの友達欄に入り込み、解除できないストーカーのようなアカウント」へと変貌していったのだ。
と、ここまでならばただのデマで終わる話なのだが、海外の専門家からは警鐘が鳴らされている。「セリーン・デルガド・ロペスのアカウントに気をつけて」というメッセージ自体は悪意がないもののように思えるが、拡散されるスピードが非常に早いため悪用される可能性も高いというのだ。
インターネット用のセキュリティ関連ソフトウェア開発企業であるESETのJake Moore氏は、昨年世界的に流行した「MOMOチャレンジ」を例にあげ、「このようなデマメッセージは、最初は一見無害に見えますが、拡散するスピードが速いため、どこかで誤報が追加されると制御不能になる可能性があります。ログイン情報を奪ったり、マルウェアをダウンロードさせたりするリンクやプログラムが仕込まれる事もあります」と述べている。
ネットの噂や都市伝説は興味深いものが多いが、その拡散には気をつける必要があるようだ。
(勝木孝之 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 Argo Images / PIXABAY