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- 国家の安全を脅かすスターリンク衛星を破壊するシステムが必要!?

アメリカのテスラ社最高責任者であり、宇宙開発企業のSpaceX社を率いるイーロン・マスク氏は、現在世界中のインターネットを強化する「スターリンク計画」を行っている。
「スターリンク」はSpaceX社が運営する衛星インターネット部門であり、約2000個の衛星を使って世界中のサービスが行き届いていない地域へインターネットアクセスを提供するというもの。ロシアの軍事侵攻によって通信インフラが遮断されたウクライナからの支援要請を受け、急遽スターリンク衛星を同国に移動させてインターネット環境を整えた事でも記憶に新しい。
そんな次世代の通信システムであるスターリンク衛星に対して、中国の軍事専門家が脅威論を唱えて注目を集めている。Ren Yuanzhen氏率いる研究チームが先月発表した論文によると、スターリンク衛星は中国の国家安全保障を脅かす可能性があるため、軌道上に数千機あるスターリンク衛星の一つ一つを追跡する監視システムが必要だという。
そして、これらの衛星が自国に脅威を与える事態が発生した際には、衛星をソフトとハードの両面で「無効化または破壊」する能力を構築する必要がある、と軍部に提案したのである。ちなみにこの論文が現在の中国政府や軍の方針をどの程度反映したものなのかは明らかになっていない。
ここまで物騒ではないが、スターリンク衛星を問題視しているのは中国やロシアだけではない。NASAも懸念を表明しているのだ。SpaceX社は今後は衛星の数を3万機に増やしより規模を拡大していく計画を掲げているのだが、軌道上の構造物が増大することで、将来的に行われる宇宙でのミッションの妨げになる可能性が出てきたのだ。
また、スターリンク衛星は時々太陽から地球に光を反射するため、天文学者が望遠鏡で夜空を観測する際の邪魔になっていると言う指摘もある。新たな技術がもたらす物は恩恵だけではないということかもしれない。
(加藤史紀 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 SpaceX-Imagery / PIXABAY