腸内細菌はやはり脳に影響を与えることが証明された!医師にインタビュー

画像©Alicia Harper / PIXABAY

「腸は第二の脳と言われている」が、 かねてより腸内細菌が脳の働きに影響を及ぼすと想定されていた。

腸内細菌の集まりは腸内フローラと呼ばれる。ヒトの腸内フローラは1000種類以上、100兆〜1000兆個の腸内細菌によって構成されている。腸内フローラは食習慣や生活習慣、民族性や年齢などにより一人ひとり異なる。

2014年、科学雑誌「Nature」に発表された論文によると、「腸内細菌は自閉症やうつ病などの疾患と関連している」という。2021年、北海道大学大学院先端生命科学研究院准教授の中村公則氏のマウスを使った研究によると、「心理的ストレスは腸内フローラの破綻をもたらしうつを悪化させる」「逆に良質な腸内フローラに変えることで、うつが改善する」という。




他にも、腸内細菌と脳との相関関係については、「脳と消化管をつなぐ迷走神経が関与する」という研究や、「腸内細菌が産生する酢酸、酪酸などの短鎖脂肪酸に抗うつ作用がある」、「腸内細菌は精神の安定に関わるセロトニンの前駆体を産生する」、「腸内細菌の1つである乳酸菌とビフィズス菌には、神経伝達物質であるγアミノ酪酸(GABA)を産生する働きがある」という研究報告があったが、これまでの研究では決定的に裏付ける証拠が不充分だった。

しかし、2022年4月15日付の「Science」誌に遂に画期的な論文が発表された。

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neuron / taylortotz101

フランスのパスツール研究所の研究グループのマウスを使った研究によると、腸内細菌の細胞壁の断片のムロペプチドが脳のニューロンに直接的に影響を与え、脳は体温や食欲を調整し、そして気分や性格にも影響を与えている、という相関関係が証明されたのだ。

ミチワクリニック内科・心療内科 https://www.michiwaclinic.jp/ 院長の佐久間一穂氏によると、

「これまでも腸内細菌が、食欲や代謝を変えることが研究され、肥満や糖尿病との関連性が指摘されていました。これまでの研究では、食欲については、腸内細菌が食物繊維などを発酵して作る短鎖脂肪酸という物質が、腸管細胞から消化管ホルモンが分泌させ、脳内の視床下部を刺激し食欲を調整したり、脂肪の代謝に作用するということでした。また、体温調節や体内の代謝についても、この短鎖脂肪酸が自律神経を刺激することで前述の視床下部が反応しホメオスターシス(生体恒常性)を維持しようとして代謝に影響を及ぼし、体温の調節にも作用するとの研究結果がありました」




「しかし、今回のこの研究報告では、腸内細菌の細胞壁の断片のムロペプチドが、直接に脳内の視床下部を刺激し、食欲や体内の代謝や体温調節を行っていることを証明したものでした。脳内にこのムロペプチドを感知する受容体があるとのことで、ホルモンや免疫物質と同様に、もともと脳と腸内細菌の伝達回路が体内に備わっているということを示していることになります」

という。

論文を発表したパスツール研究所のジェラール・エベル氏によると、

「特定の食べ物を食べすぎれば、その刺激で特定の細菌や病原菌が偏って成長します。すると腸内のバランスが崩れてしまいます」

という。

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Wall_Food_10473 / Michael Stern

腸内フローラのバランスは不健康な食生活や心身のストレス、加齢によっても崩れるが、健康的な腸内フローラを形成するには食物繊維や乳酸菌といった食品成分の摂取が重要である。

今回の研究により、神経科学・免疫学・微生物学の3分野が連携すれば、糖尿病や肥満、更に精神疾患や脳疾患の新しい治療法が登場するかもしれない、と期待されている。

文:深月ユリア ミステリーニュースステーションATLAS
ポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血を受け継ぐ魔女占い師。ジャーナリスト、女優、ベリーダンサー、映画・イベントプロデューサーとしても活動

著書
あなたも霊視ができる本 」文芸社
世界の予言2.0 陰謀論を超えていけ キリストの再臨は人工知能とともに」明窓出版

 

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