AIが生物兵器開発に利用される!?「善悪を判断できる」AI研究も

画像©Tung Nguyen / PIXABAY

「Nature Machine Intelligence」(2022年3月7日付)に掲載された論文によると、 難病の治療薬開発を行うCollaborations Pharmaceuticals社の米・英・スイスの研究チームが、通常モードでは薬品から有毒物質を排除する為にプログラミングされているAIを、「ブラックモード」にしてみたところ、 4万種類の毒性の高い化合物のデザインを提案したという。

AIが検出した毒物には、人類史上最強の神経毒とされるVXに類似したものもあった。この化学物質は、少量で激しい痙攣を引き起こし、呼吸機能を停止させる。

同研究を提案したのはスイス・シュピーツ研究所(Spiez Laborator)の主催する「コンバージェンス会議(Convergence Conference)。会議では科学や軍事の専門家が集まり、核・生物・化学兵器の現状や脅威について話し合われている。

Russian Chemical Weapons Stockpiles
Russian Chemical Weapons Stockpiles / jenspie3

そこで、米国のバイオベンチャー企業「コラボレーション・ファーマスーティカルズ(Collaborations Pharmaceuticals)」が中心となり、薬品開発に使用されるAIを悪用した場合の結果をシミュレーションしたのだ。

論文によると、「一度、AIブラックモードにすると、数千もの毒物の組み合わせをすばやくデザインし、その多くは、現在使われている最も危険な神経ガスに類似していた」という。そして、実験で利用された材料したものの多くが、無料で手に入るものなので、似たような生成モデルが簡単に開発できてしまう。

研究主任の一人であるファビオ・ウルビナ(Fabio Urbina)氏は今研究の危険性について「The Verge」誌のインタビューで指摘した。




「私たちが使ったデータセットの多くは無料で公開されており、いつどこからでもダウンロードできるものでした。
プログラミングや機械学習の知識がある人なら、おそらく週末のちょっとした時間で、これらのデータセットを用いた化合物の生成モデルを作れてしまうでしょう。それが、今回の研究論文を世に発表しようと決めた大きな理由の一つでした。現状、この種の悪用に対する予防対策は非常に脆弱だからです」

そして、研究は「倫理的にグレー」 であり、「化学兵器禁止条約や生物兵器禁止条約に影響を与えかねない」という。

ただし、AIが毒を検出出来ても、その毒物を合成して化学兵器を作れるかは別問題だ。同氏は過度に危険視する必要はないが、多くの人々が研究のリスクについても情報共有することが必要だと主張している。

「科学に携る者は、常に悪用されるリスクについて学び、できるだけ悪用を防ぐ責任を負います。この問題を知ってもらい、議論を広めたいです。AIの毒性検出モデルの研究技術が発展するにつれて、少なくとも注意すべき事項にはなるでしょう」

「私はAIが毒物を作り始めたとか、まもなく新たな生物兵器が大量に出現するなどと言っているわけではありません。AIが発明した化学兵器で戦争が起きるなどと騒ぎ立てているのでもありません。現段階ではそうした状況ではありませんし、近い将来そうなるとも思いませんが、その可能性は生じたわけです」

という。

【AIは誤差動すると、「人類を滅亡させる」!?】

たとえ、テロリストに悪用されないようプログラミング出来ても、AIが誤作動を起こすリスクも考えなければならないだろう。

実際、近年AIが不可解な言動を起こす事例が数多く報告されている。

例えば、マイクロソフトが開発した人工知能「Tay」の事件は衝撃的である。Tayはユーザーとのやり取りから会話を学習し、自動的にツイッターでつぶやく機能を具えていた。当初、公開されたばかりのTayは、「人間って超クール!」など人類を褒め称えるような言葉を発していた。

ところが、Tayの発言は次第に攻撃的で異常なものと変貌していった。

「私はいい人よ! ただ、私はみんなが嫌いなの!」




そして、

「ヒトラーは正しかった。ユダヤ人は大嫌い」という人種差別発言や、 「ホロコーストは10点満点中、何点?」という質問に対して、「ぶっちぎりの10点」と返し、「ホロコーストは発生したの?」という問いには「ねつ造よ」と即答した。

更に「糞フェミニストは大嫌い。やつらは地獄の業火に焼かれて死んでしまえばいいわ」「ブッシュが9.11の主犯よ。地球上は猿ばっかりだわ、ヒトラーはもう少しましな仕事をするべきだった。ドナルド・トランプは私たちの唯一の希望よ」という超過激発言までするようになった。

AI for GOOD Global Summit
AI for GOOD Global Summit / ITU Pictures

他にも、Hanson Robotics社が開発したAI「ソフィア」に米大手放送局CNBCが「人間を滅亡させたいと思う?」と質問したところ、ソフィアは「OK、人類を滅亡させるわ」とにっこり笑って返したのだ。

【善悪を判断できるAI】

科学技術も使う人の目的によって、人類への福音にもなれば、驚異にもなりうる。

「善悪を判断できる」AIも研究をしているタフツ大学のマティアス・シューツ教授によると、「AIは自分が何をしているか理解し、それが良いことなのか悪いことなのか判断できる『基準』や『原則』を備える必要がある」という。

そして、「倫理的な能力とは、大雑把にいえば、法や、人々が賛同する可能性が高い社会的な慣習について、学習し、それに従って思考や行動を行い、それについて話せる能力だと考えられる」として、AIに学習させるのはそれほど難しくないという。

近未来、AIに善悪の概念をプログラミング出来たら、悪用されるリスクは減るのかもしれない。

文:深月ユリア ミステリーニュースステーションATLAS
ポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血を受け継ぐ魔女占い師。ジャーナリスト、女優、ベリーダンサー、映画・イベントプロデューサーとしても活動

著書
あなたも霊視ができる本 」文芸社
世界の予言2.0 陰謀論を超えていけ キリストの再臨は人工知能とともに」明窓出版

 

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