
既にコロナが流行る前から現在に到るまでに大ヒットした、国民から親しまれているアニメと言えば『鬼滅の刃』が代表的だ。大正時代の日本が舞台で主人公の少年が、鬼と化してしまった妹を元の人間に戻すために鬼と戦う作品として知られている。
作品内では主人公の妹・禰豆子を例外として、鬼と化した者は首を切られる残酷な話でもある。作品内に出てくる鬼殺隊は非公認という設定だが、実際は公認されていたという驚きの事実があった!
2022年1月26日(水)に放送された『世界の何だコレ!?ミステリー』(フジテレビ系列)2時間スペシャルにて、鬼を倒す組織と鬼の真相について特集された。
平安貴族の一人が百鬼夜行を目撃してから高熱が出て何日も下がらなかったと、『今昔物語集』(平安時代後期)に記されているそうだ。だが、鬼達の姿形までは記述されていないようだ。しかし鬼達は平安京まで出没し、人を食べてしまうと恐れられていた。
鬼達が姫をよくさらいに来たことから、鬼の代表格である酒呑童子を討つため勅命により鬼を倒す組織が結成されたそうだ。
画像©ウィキペディアより引用
『大江山絵詞(おおえやまえことば)』という600年程前からあった絵巻物に、鬼が武士達から倒されている姿が描かれていた。鬼達に酒を振る舞い、酔った隙に首を刈ったとこまで描かれている。酒は神々から授かった魔法の飲み物とされていた。
なんとこの戦いの結末が痕跡として残っている場所まであったのだ!そこに行くとなぜか高熱を出してしまう人までいるというミステリースポットである。
丹波国から平安京へ入る境目に位置する老ノ坂峠にある首塚大明神という社殿の裏に、鬼の首が眠っている場所があるそうだ。結界で貼られた中に土がこんもりと盛ってあった。人が住む都に鬼が入って来ないよう、ここに封じ込められているのである。
さらに驚くべき記述が首塚大明神の石碑に刻まれていた。
「酒呑童子が源頼光に首を切られる時、今までの罪を悔い病をもつ人々を助けたいと言い残した。」と記されていた。
平安京の北外れに流れる堀川に架かっている一条戻橋から、東側には人が多く住み西北の方は蓮台野という墓地となっていた。よって一条戻橋には死と生の境目の意味があった。百鬼夜行は西から一条戻橋を渡り、都の中心へ移動していたそうだ。
当時の川は現代程発展していなかったため、梅雨の大雨などで氾濫しやすかった。そのせいで井戸の水も汚染され、疫病が流行った。祇園祭は疫病を治めるために始まったそうだ。
鎌倉時代に描かれた『春日権現験記(かすがごんげんげんき)』という絵巻物には、病人が苦しんでいる様を鬼が屋根から覗き込んでいる姿が描かれている。『今昔物語集』では姿が記されていなかった鬼の姿がはっきりと描かれたのは、この絵巻物が初めての可能性があるそうだ。
鬼の語源は「隠(おぬ)」なので、元々は目に見えない存在とされていた。つまり鬼とは目に見えない細菌やウィルスによる病気の象徴ということである。
「僕達が今、手を消毒するのはアルコール。お酒とアルコール、繋がりましたね!」とあばれる君は、鬼を退治する前に飲ませた酒と消毒液をうまく絡めた。鬼を倒す組織の存在が、現代の清潔への強い意識へと変わっていった可能性が上げられた。
以上番組では触れられなかったが、首塚大明神の結界に埋められた鬼の首とはどういうことなのだろうか。ここからは筆者の憶測になってしまうが、まさか不治の大病を患った者が鬼扱いされてしまったのだろうか…
『鬼滅の刃』で切り殺された鬼達も元は人間だった設定だが、実際病に罹った故生贄のような形で犠牲になってしまった人々もいたのであろうか。いささか疑問が残る。もしそんな魔女裁判のような残酷なことが行われていたとしたら、それこそ身震いするばかりだ…
衛生観念が強い現代でも疫病は終息せず、薬害も問題となっている。鬼対鬼殺隊の見えない戦いは、未だ終わっていない!
だが、本当の鬼は人間の心の中に潜むのかもしれない。もう時期節分だが、季節の変わり目だからこそ益々心身の健康に気をつけたい。
さらに、皆さんのご健康とご無事をお祈りしたい所存である。
(ふりーらいたー古都奈)
トップ画像©ウィキペディアより引用