
古今東西、世界中で様々な超常現象が報告されてきた。現代の科学で解明された現象も多いが、中には未だに謎のままとなっている超常現象も存在する。人がいきなり燃えだすという人体発火現象も原理が解明されていない超常現象の一つだ。
特に謎が多く、今も議論が交わされているのが1902年に発生した「サラ・モーリー焼死事件」だ。
この恐ろしい事件は、その年の5月にイギリスで起こった。モーリー家の前を通りかかった警官が、家の中から煙が出ていることに気づき、住人の安否を確認するために家に踏み行った。
しかし、警官が現場で目の当たりにしたのは燃え盛る炎ではなく、部屋の中に残された灰の山と焼けた衣服の山だった。後にその灰はモーリー夫人の遺骨であったことが判明。高温で焼かれたため骨すら原型をとどめず灰になってしまったものと考えられた。
だが、現場には奇妙な点があった。モーリー夫人の周囲には家具や調度品があったにも関わらず、類焼がほとんど見られなかったのである。
当時、アーネスト・ジョージ・アーチャー博士は、当時の『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』誌に「女性の衣服に火がついたのだろう」と書いている。しかし、モーリー夫人の遺体を多くの医師が検死したものの、いくつかの特徴は「医学の範疇を超えている」という見解を示していた。
モーリー夫人のケースの数年前にも、やはり一人暮らしの老女が、部屋に類焼がないにもかかわらず、遺体だけが焼けてしまうという事件があった。しかし、この時も結局原因や原理は不明のままだった。
その後、現代科学によって少なくともいくつかの説が唱えられてはいるが、人体自然発火現象は今もなお、不可解な超常現象の代表格であり続けている。この超常現象が解明される日は来るのだろうか。
(加藤史紀 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像©Enrique Meseguer / PIXABAY