幻のカルト番組『世界紅白歌合戦』を知っているか?!

11月29日更新、YouTubeの『古舘ch』は昭和の時代から様々な経験をしてきた、古舘伊知郎(66)が心にしまっておいた思い出を語るという人気企画、「古舘伊知郎の”忘れられない話”」だ。
今回の忘れられない話というのは、かつて大晦日のNHK紅白歌合戦の真ウラで対抗したフジテレビが何と5時間近く『世界紅白歌合戦』(1985、1986年)を放送していたエピソードを語った。
司会は、古舘伊知郎(32※)、芳村真理(51※)、谷村新司(38※)。
古舘曰く、世界紅白は「”尋常じゃないくらい”豪華!豪華!豪華!豪華!」。それは決して名ばかりでなく、ハワイ・香港・ロサンゼルス・ニューヨーク・ロンドンから、「スティーヴィー・ワンダー」「マドンナ」「ジャネット・ジャクソン」……その他諸々のアーティストと衛星生中継をし、対し日本側は新高輪プリンスホテル「飛天」の間において、ディナーショー形式で日本代表としてCHAGE and ASKA、長渕剛、菊池桃子らが出場したという。
「まー、凄いメンバーでやりましたよね」と、古舘。スケジュールの都合で別撮りだった菊池は、衛星生中継と謳っている以上、掛け合いが不自然にならぬように必死で菊池との”間”を計算し乗り切った古舘は、「“至難の業”だった」と、当時を振り返った。
スタッフからは「いやー、古舘さん抜群に上手いわ」「(古舘でなければ)こんな事出来ないよ」と、大絶賛されたという。
ここで「こんなに凄いのに2年しかありませんでしたね」とのスタッフの素朴な疑問に対し、古舘は「数字が思わしく無かった」「(もの凄いメンバーを集めていたので)お金が掛かり過ぎた」と答えた。
筆者の生まれる前の出来事だった世界紅白は、バブル時代のただただ豪華絢爛なだけのぶっ飛んだ番組だったのでは?と勝手に想像していた。しかし古舘は続けて、「(NHK)紅白の真裏で、実験を2回やるだけでも世界紅白の本懐を遂げたんじゃないですか」とコメントした。
この言葉から、バブル時代の無駄遣いをあからさまに否定するのでは無く、その時代の人々の生き生きとしたチャレンジ精神へのリスペクトを感じざるを得なかった。
また、当時古舘は世界紅白が終了したのち、仮眠程度で極度の寝不足と空腹のなかユンケルを体内に流し込み、元旦の早朝から揺れるヘリコプターに乗り、東京上空から生中継をしたという。ところが、余りの揺れと前日からの疲れも重なり、何と目黒区上空から思いがけず嘔吐。
するとパイロットから「(そこそこ高度がある為)全く『飛沫』の『ひ』の字も無く雲散霧消(うんさんむしょう)!」と言われ安堵したという、今ではあり得ない暴露エピソードも付け加えた。
最後に古舘は、「(私にとって)世界紅白と嘔吐っていうのは全部繋がってんですよね……」とコメント。スタッフの大爆笑で番組は締めくくられた。
そもそも、バブル時代の“バブル”とは「中身の無い泡が膨れて弾ける様子」という意味であるという。ということは、ひょっとして最後のコメントは『世界紅白も雲散霧消の如く跡形も無く2年で消えた』と暗喩していた?……というのは、筆者の気ままな深読みだろうか。
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※年齢は1986年当時
(香里 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像©shbs PIXABAY