イギリスの幹線道路に出現した!「事故を引き起こす手」の妖怪

イギリス・イングランドのデボン州にはかつて、とある妖怪が出るという噂があった。

1910年頃からポストブリッジとトゥーブリッジの間を走る道路にて、自動車の運転手やサイクリストから奇妙な報告が相次いだ。それは「Hairy Hands(毛むくじゃらの手)」というもので、突如毛むくじゃらの角張った手が出現し、自動車や自転車のハンドルを掴み、ドライバーを道路から溝や縁に押しやろうとしてくるのだそう。

単なる幻覚に思えるかもしれないが、実際に「毛むくじゃらの手」によって事故を起こし、怪我を負った人や死亡した人も出ているという。

最初の犠牲者は1921年6月に出たそうで、被害者はバイクを運転していた男性。サイドカーに乗っていた2人の娘はとっさに飛び降りることが出来て無事だったそうだが、二人は父親がバイクをコントロールしようと必死になっている様子を見ており、「バイクから降りろ」と叫んでいたことを覚えていたそうだ。

その数週間後には、今度はバスの運転手が路上でコントロールを失って乗客数名が座席から放り出されるという事故が発生した。

こうして人を事故に遭わせようとする「毛むくじゃらの手」の話がイギリス全国に知られるようになったのは、この年8月にある陸軍大尉が、「自分のオートバイが見えない手によって道路から押し出された」と報告したことがきっかけだった。




彼は当時、地元メディア対し「信じられないかもしれないが一対の大きくて筋肉質の毛むくじゃらの手が襲いかかってきた。私は全力で『手』と戦いましたが非常に手の力が強く、オートバイは道路の端の芝に押し込まれ、私は数フィート離れた芝の上に投げ出され、我に返るまでもう何もわかりませんでした」と語っている。

この話は、すぐにDaily Mail紙に取り上げられ、英国中に広まった。その後も「毛むくじゃらの手」の目撃者は増え続け、著名な民俗学者のテオ・ブラウン氏が1924年の夏、B3212号線近くのキャラバンに滞在していたときに「窓をこじ開けて入って来ようとする毛むくじゃらの手」を見たと証言。別の目撃者であるフローレンス・ワーウィック氏は、1962年にフロントガラスを覆う「毛むくじゃらの手」に遭遇したと証言している。

様々な目撃談があるものの、この手がなぜ「運転手を道路から追い出そうとするのか」はまだ明らかになっていない。

地元では道路上で事故死した男性の手だとする説もあるが、噂どまりのようだ。なお、事故の原因を調査したところ路面の状態が悪かった事と、事故車両のタイヤのキャンバー角が「危険なレベル」に達していたため、それらが組み合わさって事故が起きたのではないか、という結論が出たそうだ。

妖怪「毛むくじゃらの手」は実在したのか、それとも事故に遭った人たちが生み出したものだったのか。いずれにせよ、興味深い妖怪である。

(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©Alexas_Fotos / PIXABAY

 

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