
まずは、上の写真を見てみてほしい。
黒くミイラのようにひからびた、何らかの生物の死体である事がわかる。背中には剛毛があり、全体的に小柄で手足の指は長い。目を引くのは牙をむいた恐ろしげな顔だろう。小柄な生物には不釣り合いな巨大な犬歯は、この生物が相当狂暴な生物であった事を伺わせるものとなっている。
果たして、この生物の正体は何なのか。
その体つきから「霊長類の一種」という説が出ているが、一番強いのは「チュパカブラの死体」ではないかという説だ。この謎の生物の死体写真は数年前からツイッター等で拡散されてきたもので、「2003年にアメリカのエリア51から流出した写真」ではないかというキャプションがついている事が多い。
チュパカブラは皆さんもご存知、中米プエルトリコで始めに目撃された未確認生物。大きさは90センチ程度と小柄ながらも驚異的なジャンプ力を備えており、家畜の山羊の血を吸って殺してしまうため、この名前で呼ばれるようになった。
その後、北米大陸や南米大陸でも確認されるようになり、現在では比較的狂暴そうな見た目の生物が目撃されると「チュパカブラではないか」と疑われる事も少なくない。そんなチュパカブラは、大きくつり上がった目や貧弱な体などがグレイ型エイリアンにどことなく似ていたため、「宇宙から来た生物なのでは?」という説が出てきていた。
もしこの写真の出所がキャプション通りエリア51であれば、UFOや宇宙人と縁の深い場所なだけに「チュパカブラ=宇宙生物」説の説得力が増す。
非常に気になる写真だが、この写真の出所を探っていった結果、興味深い事実が判明した。
これらの写真の初出は、Dapper Cadaver社という会社のウェブサイトに掲載されていたものである。
この会社は特撮などで用いられるプロップモデルのオンライン販売やレンタルを行っている会社で、掲載されていた写真にはチュパカブラに関する説明と一緒に「知り合いを脅かしたり、小道具に使えます」「指、腕、頭が可動します。製品寸法 37×22×8cm」と、使い方やスペックが明記されていたのだ。
そう、長年ネットを騒がせていたチュパカブラの写真は撮影用にリアルに作り込まれた小道具にすぎなかったのである。チュパカブラの写真なのは間違いないのだが、「死体」などではなかった事実は明確にしておくべきだろう。
(飯山俊樹 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)