
先月末、10月31日のハロウィンの日にジョーカーの姿をした服部恭太容疑者(24歳)が京王線の特急電車内で刃物を振り回した上に放火し、17人の乗客が重軽傷を負った事件は国内のみならず海外のメディアでも騒然となった。
犯行は5か月も以前から計画されていて、犯行動機も恐ろしいものだった。「仕事も人間関係も上手くいかない。」「人を殺して自分も死刑になりたい」
そして、服部容疑者が犯行現場に選んだ京王線特急電車は、各期停車に比べて停車駅が少ない。要するに、乗客が逃げられるタイミングを失い、かつ凶悪な容疑者と共に電車内に閉じ込められる恐怖がより長く続く。
週刊文春によると、服部容疑者は以前に交際していた彼女と別れてから性格が暗くなったり、問題行動を起こすようになったそうだ。
このことから、「服部容疑者がサイコパスではないか」という憶測がインターネット上で飛び交っている。魔女占い師で心理カウンセラーでもある筆者は、「サイコパス」といわれる人達からもカウンセリング依頼を幾度が受けてきた。彼らの脳の思考回路は、一般的なモノサシのは異なり、彼ら自身も周囲とは溶け込めない「生きつらさ」を抱えることがある。
サイコパスとは、生まれながらに脳の共感脳能力を司る部分が弱い為、感情や良心がうすく、快楽主義で刺激好き、そして、自分自身の目的達成の為に善悪より利己的・合理的なやり方を選択して生きる反社会性パーソナリティの特徴である。
しかし、サイコパスの特性をもつ人々皆が凶悪犯罪に手を染める訳でない。サイコパス達は合理的なので、自分の目的を達成することで得られる快楽より、犯罪に手を染めることで罰せられるリスクの方が高ければ法を犯さないのだ。
以下は、精神医学的にサイコパスの特徴といわれているものだ。
1. 口達者で表面的な魅力があるので、第一印象では人を引き寄せやすい
2. 誇大的な自己価値観をもつ
3. 刺激を求め、飽きやすい
4. 嘘をつくのが悪いことだと考えないので、虚言を繰り返す
5. 人を操作し利用するために偽り騙す傾向がある
6. 良心や罪悪感が欠如している
7. 感情が平坦
8. 冷淡で共感性がない
9. 行動が衝動的でコントロールができない
10. 性行動が奔放
11. 幼少期の問題行動を起こす
12. 現実的・長期的な目標を立てるのが苦手
13. 数多くの婚姻関係
彼らは共感能力は弱いが、人の表情を読むのは得意だ。その為、第一印象で相手が求める理想像を演じることは容易で、虚言を繰り返し、相手をマインドコントロールするのには長けていてプレゼンテーションも上手い。
その為、サイコパスには社会的成功者も多い。
心理学者であるケヴィン・ダットン氏が著書で紹介しているサイコパスが多いという職業トップ5を紹介する。
black suit and watch businessman credit to https://1dayreview.com / 1DayReview
1位 最高経営責任者
数ある職業の中でもサイコパス率が高いといわれるのが、CEOである。サイコパスが最高経営責任者に多いといわれる理由は、冷淡でかつ大胆であるた故に、普通の人ではできない冷静な判断やあっと驚かせる経営手腕が発揮できると考えられる。
Scales of Justice – The Law – Lawyers and Attorneys / weiss_paarz_photos
2位 弁護士
冷静さ、過大なまでの自信、人をあざむく力などサイコパスの特徴はときとして魅力的で有能な弁護士を作り出すことがある。特に犯罪者の側に立って弁護するためには、罪悪感や正義に押しつぶされない強さも必要だ。こうしたとき、他人への共感が低いサイコパスの特徴は生きてくる。
Anchorman Newsdesk – Newseum / Gareth Milner
3位 キャスター
テレビやラジオなど、人前に立つプレッシャーのかかる職業もサイコパスが多いといわれる。サイコパスの特徴が職業に生きてくるだけでなく、ナルシシズムな欲求が、人前に出ることによって満たされるためだ。
Business man / benmoranphotography
4位 セールスマン
口のうまさや表面的な魅力の高いサイコパスは、セールスマンとしての魅力もある。好成績をたたき出す人も少なくない。一方で、執拗なまでの数字へのこだわり、チームとしてのコミュニケーションの不足があだになって失敗する人もいる。
画像©Sammy-Sander / PIXABAY
5位 外科医
イギリスの外科医師会の調べでは、通常の診療科よりも外科医にサイコパスが多いことがわかっている。これは、1分1秒を争う緊急の場面も多い外科手術で、感情に流されない即時の判断が必要になる。また、サイコパスの多くがグロテスクなものを見ても感情が動かないので、外科医は適職なのかもしれない。
さて、「服部容疑者がサイコパスか」という噂だが、良心や罪悪感がが欠如していている、という点はあてはまる。しかし、服部容疑者が問題行動を起こすようになったのが、「彼女と別れてから」なら、むしろネガティブな感情的や妄想癖が強い人間なので、感情が平坦なサイコパスではなく、他の精神障害(妄想性パーソナリティや境界性パーソナリティなど)かもしれない。
とはいえ、昨今「サイコパス」は増加傾向にあるようだ。現在、日本でも男性の3パーセント、女性の1パーセントは程度の差はあれ、サイコス気質をもつといわれる。
新自由主義の競争社会とグローバル化の進行により、ヒトとモノが過剰に流動的になり、誰もが敵となり得る「万人の万人に対する闘争」(トマス・ホッブズ)状態が出現してしまった。倫理と道徳を重んじて、「正直者」「素面」で生きようとする者が、かえって「貧乏くじ」をひいてしまうこともある。
そのような時代で、「嘘をつき通し他人を踏み台にする、悪びれない、」サイコパス達が増えてしまっているのだろうかー。
トップ画像©Dennis Trevisan / PIXABAY
文:深月ユリア ミステリーニュースステーションATLAS
ポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血を受け継ぐ魔女占い師。ジャーナリスト、女優、ベリーダンサー、映画・イベントプロデューサーとしても活動
著書
「あなたも霊視ができる本 」文芸社
「世界の予言2.0 陰謀論を超えていけ キリストの再臨は人工知能とともに」明窓出版