
クマムシは驚くべき回復力を持つ生物として知られている。
現在地球上に生息する生物の中で最強と名高いクマムシ。体長1ミリに満たない非常に小さな体に8本の足を持ち、乾眠という特殊な状態下では高温や高圧、真空や放射線にすら耐えるという脅威の耐久力を誇る生物でもある。
そんなクマムシは5億2000万年以上前から生息しており、恐竜など多くの生物を絶滅させた大規模な絶滅イベントを幾度も乗り越えてきた。
そんなクマムシが1600万年前の琥珀の中から発見されて話題になっている。
この琥珀はドミニカ共和国で発見された新種で、Paradoryphoribius chronocaribbeusと名付けられた。琥珀の中から発見され、学名をつけられた例としては3例目となる。
Tardigrades are tough microscopic animals that can survive the vacuum of space, but they don’t fossilise well. A new specimen from ancient amber is just the third ever found https://t.co/VpKS7k6iZX
— New Scientist (@newscientist) October 6, 2021
ニュージャージー工科大学の生物学者であるフィル・バーデン氏は今回の発見に関して次のように語る。
「今回の発見は、まさに一世一代の出来事です。注目すべき点として、クマムシは植物が地上に生い茂るころから恐竜の滅亡など、地球上で起きるすべての事象をずっと見てきた、どこにでもいる生物であるということです。しかし、古生物学者にとってクマムシは化石記録がほとんどない幽霊のような系統です。クマムシの化石の発見は長い地球の歴史の中でクマムシがどのように進化し、環境に適応てきたかを経験的に知ることにつながります」
なお、今回の化石は琥珀の中に閉じ込められた状態で発見されたのもまた幸運だったという。クマムシのサイズが非常に小さく、通常では化石になりにくいのだが、樹脂の中に取り込まれた事で非常に保存状態の良い状態での発見につながった。
今回発見されたクマムシには現生のクマムシには見られない進化上の側面も確認されたそうなので、クマムシの進化の過程が明らかになるのかもしれない。
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 Tardigrade / Philippe Garcelon