培養した脳組織の中に初歩的な「目」が発生!?

海外で研究中の培養脳組織が、光を敏感に感じ取り機能する、初歩的な目の構造を形成したという報告あった。

サイエンス・アラート誌によると、培養皿内の脳オルガノイド上に2つの黒い物体が発生。そこには視神経が集中しており、ヒトの胎児における眼球構造の発達を反映していることが確認できたという。

なお、オルガノイドとは試験管内などび生体外でつくられた幹細胞からなる小型、単純化された臓器を指す。「脳オルガノイド」は、我々の体内に存在する完全な脳ではなく、採取した幹細胞から成長した小さな構造体だ。この幹細胞は、さまざまな種類の組織に成長する可能性があり、今回は脳組織の「塊」に成長。しかし思考や感情、意識を再現することはできないという。

このような「小型の脳」は実際に生きている脳を使って実験するのが「倫理的に難しい」時に研究目的で使用されている。




今回、脳オルガノイドは発生からわずか30日で視神経乳頭を成長させ、50日後には目視で確認できるほどの大きさになった。314個の脳オルガノイドのうち、73%が視杯を形成したという。

この実験を行った科学者たちは、今回の成果が目の病気の理解を深めるのに役立つと考えている。ドイツ・デュッセルドルフ大学病院の神経科学者Jay Gopalakrishnan氏は

「今回の研究は、脳オルガノイドが、光に敏感で、体内で見られるのと同じ種類の細胞を持つ、原始的な感覚構造を生成する驚くべき能力を持っていることを示すものです。目の発達は複雑なプロセスであり、それを理解することで、初期の網膜疾患の分子基盤を解明できる可能性があります。従って、適切な眼球形成に不可欠な、近位端が前脳に付着している眼球の原基である視杯を研究することは極めて重要です。これらのオルガノイドは、胚の発生過程における脳と目の相互作用の研究、先天性網膜疾患のモデル化、個人に合わせた薬物検査や移植治療のための患者固有の網膜細胞タイプの生成などに役立ちます」

と述べている。

研究チームは現在、より詳細な研究を行うために、より長い時間スケールで構造体を生存させるための新しい戦略を開発したいと考えているという。

(加藤史紀 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©Pete Linforth PIXABAY

 

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