成長すると姿が変わる!?珍しい深海魚

アメリカはカリフォルニア州の沖合にて、珍しい深海魚の映像が撮影された。

モントレーベイ水族館研究所(MBARI)の海洋生物学者が、モントレーベイの深さ約1.82キロの海域で探査機を用いて確認したのは全身が赤く、頭を下に立ち泳ぎする奇妙な魚。この魚は深海魚のクジラウオ(Cetomimiformes)の一種とみられている。

クジラウオは1895年に初めて発見された非常に珍しい魚で、日本近海にも生息している。もっとも深海に生息しているため、あまり見つかる事がない。今回報告されたカリフォルニアでも、過去34年間で18回しか目撃されていないとのこと。

同研究所は公式Twitterにて「ホエールフィッシュ(クジラウオ)が深海で生きている様子が確認されたことはほとんどありません。この驚くべき魚については多くの謎が残されています」と書いている。実際、日本でもクジラウオが確認され、採集されることは珍しく、標本数も少ないとのことだ。またその生態もなかなか変わったものとなっている。

Whalefish, Cetomimus sp.




クジラウオは鱗が無く、背びれや尻びれなどの基底部に発光器を持っているという。体色は褐色や赤色、オレンジ色をしており、カメラで見る限りはかなり目立つようにも見える。しかし映像では暗い深海の様子を知るために点けられたライトで照らし出され、実際の深海では目立つ色がかえって保護色の代わりになる。

またクジラウオは生涯を通じて3つの異なる形態をとるため、それぞれ別種の魚のように見えるという特徴も持っている。幼生の頃はタプテイルと呼ばれ、鱗がなく長い尾を持っているという。ここで雄の個体は口がかなり小さくなった姿で成長が止まるが、雌の場合は体が飛躍的に大きくなり、動画で確認されたような鮮やかな体色の成体になるという。

つまり、幼体と雄と雌で3種類の姿がある魚だ。この変化があまりにも劇的なため、かなり長い間それぞれ別々の種類であると考えられていた。

雄の個体が確認されたのもごく最近のことで、成体の雌が最大40センチ程の体長なのと比較して雄は雌の10分の1程度の体長しかない。そのため、同じ深海魚のアンコウ等と同様に雄が雌に寄生し、その後体が一体化していくものと考えられている。

モントレーベイ水族館研究所は「深海に潜るたびに、より多くの謎が発見され、解決されていきます」と公式Twitterで語っている。今度我々の前に姿を現してくれるのは、どんな深海生物なのだろうか。

(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像&動画©Monterey Bay Aquarium Research Institute (MBARI) YouTube

 

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