
メリーランド大学の研究者たちが、1980年代を代表するゲームの一つであるスーパーマリオブラザーズをプレイすることができ、水や空気で持続的に電力を供給できる完全自動の「パワーグローブ」を3Dプリントでもって作成することに成功したと発表した。
ソフトロボット開発の第一人者であるメリーランド大学の研究者たちである、Ryan D. Sochol助教授(機械工学)率いるチームは、時間を節約するためにPolyJet 3D Printingを使用して流体回路を内蔵した部品を組み立てた。
プレスリリースによると、この集積回路により、1つの制御圧力の強さに応じて手が動作するようになったという。またソフトロボットは、より柔らかい素材で作られているため柔軟性があり、空気や水を使って持続的に動力を得ることができるとのことだ。
Engineers from the University of Maryland used additive manufacturing to create a 3D-printed robot hand capable of clearing the first level of Nintendo's Super Mario Bros. —demonstrating precision required for many more applications beyond video games. https://t.co/MZHVbDlipb pic.twitter.com/O7oWPWGUw4
— 3Dnatives (@3Dnatives_en) July 23, 2021
研究チームはロボットハンドの性能を示すため、指の圧力を切り替えるプログラムを設定した。例えば、ロボットの1本目の指の圧力を低くするとマリオが歩き、高くするとマリオにジャンプさせることができるという。その結果、ロボットハンドは『スーパーマリオブラザーズ』の最初のステージを90秒以下で倒すことができたという。
本研究の共著者であるジョシュア・ハバード氏は報告書の中で次のように述べている。
「以前はソフトロボットハンドの各指には独自の制御線が必要で、携帯性や有用性が制限されることがありました。しかし、我々が開発した “流体トランジスタ “を内蔵したソフトロボットハンドはたった1つの圧力入力に基づいて細かな動きを出力することができるのです」
また研究チームは、今回開発したソフトロボット技術を独占するのではなく、オープンソースにしている。
「私たちは、すべての設計ファイルを自由に共有しています。そうすることで、誰でも簡単にダウンロードし、必要に応じて変更し、所持する3Dプリンタでもソフトロボットや流体回路の要素をすべてを3Dプリントすることができます。このオープンソースの3Dプリント戦略によって、流体回路を内蔵したソフトロボットへのアクセス、普及、再現性、採用が広がり、ひいてはこの分野の進歩が加速されることを期待しています」」
と研究チームは述べている。
今後はこの技術がリハビリテーション機器、手術器具、カスタマイズ可能な義肢などのバイオメディカル分野に応用されることを期待しているとのことだ。
University of Maryland engineers create 3-D soft robotic hand
(加藤史紀 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像&動画©FOX 5 Washington DC / YouTube