
イスラエル北部にある先史時代の集落跡を調査していた考古学者が、この地域で文字を書く技術が生まれる前の時代のものと考えられる粘土製の印章を発掘した。
この遺物は、ヨルダンとの国境近くにあるベイト・シェアン渓谷のテル・ツァフ遺跡にて、2004年から2007年にかけて行われた発掘で発見された。
出土した印章は粘土製でおよそ150個、いずれも1cmにも満たない大きさだが、この地域の乾燥した気候のため、非常に良い状態で保存されていた。この印章には、中央に1本の線が引かれた左右対称の対角線が描かれている。
7,000-year-old letter seal found in Israel hints at ancient long-distance trade https://t.co/xcDCz8FZyr
— Live Science (@LiveScience) June 10, 2021
エルサレム・ヘブライ大学の考古学者によれば、この遺物はイスラエルの初期青銅器時代I(紀元前3500年から2900年)よりもさらに前の、約7000年前のものであるという。
粘土製の印章は、古代の各地で発見されている。
いずれも重要な文書や手紙を封印するために使われていたものが大半だ。しかし、テル・ツァフ遺跡で発見されたこの印章は、この地域で文字が書かれるようになるよりもずっと前に作られたものだという。
では何のために使われたのかというと、貨物輸送の印や、サイロや納屋の封印を示すものとして使われたのではないかと考えられている。
例えば印章で封印された納屋の扉を開けることで、誰かが中に入ったことを所有者に知らせることができるのだ。
発掘に当たったガーフィンケル教授は「今日でも、改ざんや盗難を防ぐために、同じような種類の封印が行われています。
7000年前にはすでに、土地の所有者や地域の行政官が自分の財産を守るために使っていたことがわかりました」と述べている。また、印影に2種類のスタンプが押されていることから、商業目的で使用されていた可能性も考えられているという。
また、この地域では8500年前の印章が発見されていますが、その頃の印章の痕跡はまだ見つかっていない。さらに興味深いことに、この粘土を分析したところ、少なくとも約10km離れた場所で採取された材料を使用していることがわかった。
これらの証拠から、テル・ツァフの住民が、古代イスラエル以外の人々とよく交流していたことを示唆しているという。
ガーフィンケル教授は次のように語る。
「この遺跡では、メソポタミア、トルコ、エジプト、コーカサスの人々と接触していた証拠があります。中東の先史時代の遺跡の中で、この遺跡で発見されたようなエキゾチックなアイテムの長距離交易の証拠を示すものはありません」
Young volunteers discover hundreds of ancient gold coins in Israel | Bright side
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)