
オーストラリアには数十年にわたって未解決のままの「ソマートン・マン」事件という事件がある。
1948年、アデレード市のソマートンビーチで男性の遺体が発見された。男性はスーツを着てネクタイを締めたきちんとした身なりをしていたが、身分証明書を持っておらずスーツケースにはラベルが剥がされた衣類が詰め込まれていた。また、ポケットには〈Tamám Shud〉というペルシャ語が書かれた紙が入れられていた。
警察はこの男性の身元や死因を徹底的に調べようとしたが当時はうまくいかず、未解決事件となっていた。
この事件は男性が発見された町の名前から「ソマートン・マン」ないしは発見されたメモから「タマム・シュッド事件」と呼ばれ、以来何十年にもわたって様々な推理や憶測を呼んでいた。
しかし、先日オーストラリア当局が、1948年当時には解らなかった手掛かりを現代の科学的分析から得るべく、ついに「ソマートン・マン」の遺体の掘り返しを決定したのである。
‘Baffling cold case’: Mystery Somerton man exhumed by SA police in bid to determine identity | 7NEWS
遺体を調査する研究チームの一員であるアン・コクソン博士は、今回の発掘についてのプレスリリースの中で「現在の技術は、この遺体が発見された当時の技術よりも大幅に進んでいる」と述べている。
具体的には遺体から充分な量のサンプルを抽出し、そこからDNAや遺伝物質を回収できれば、系図の調査が可能になりソマートン・マンの身元特定につながるのではないかと考えられている。問題があるとすれば、遺体は防腐処理が施されていたため、化学物質の影響で遺伝物質が壊れている可能性があるという。
そのため、コクソン氏は「この種の検査は非常に複雑で時間がかかることが多いが、我々はあらゆる方法を駆使して、この永続的な謎に決着をつけようとしている」と強調した。
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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