なぜQアノンは「ポスト・トランプ」でもトランプを待ち続けるのか!?「ホラ吹き」ほど騙されやすい!?

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【外れっぱなしのQアノン「予言」】

 米議事堂の暴動を扇動し、現在、世界的な社会問題ともなっている「Qアノン」。彼らはトランプ米国元大統領を救世主と崇め、トランプ氏がいつの日か大勢の秘密裏で犯罪を犯してきた悪徳セレブを逮捕すると信仰している。

 Qアノンの主張によると、世界規模の児童売春組織を運営している悪魔崇拝者・小児性愛者・人肉嗜食者の秘密結社「ディープ・ステート」が存在し、彼らは幼児からアドレナクロムという「若返り」物質を接種する為に子供たちを誘拐してレイプし殺害している。

 ドナルド・トランプ氏は彼らと戦っている英雄で、トランプ氏が計画している「嵐」と呼ばれる報復の日には、秘密結社のメンバーが大量に逮捕される。また、トランプ氏はロシア人との共謀(ロシア疑惑)を装ってロバート・モラーに児童売春組織の存在を暴露し、彼に協力を請している。

 しかし、読者がご存じのように米大統領で敗北したトランプ氏は「悪魔崇拝者・小児性愛者・人肉嗜食者の秘密結社ディープ・ステート」を逮捕することなく、現在むしろトランプ本人が暴動を扇動した罪やロシア疑惑で逮捕されかねない状況だ。

QAnon at Virginia 2nd Amendment Rally (2020 Jan)
QAnon at Virginia 2nd Amendment Rally (2020 Jan) / Anthony Crider

 Qアノンの陰謀論が外れたのは今回に限らない。

 どこかのカルト宗教のように、Qアノンはこれまで何度も「嵐」を「予言」してきたが外れて、その度に「予言」を延期してきた。その時系列をご紹介する。

●2017年11月3日にQアノンは「嵐」の始まりを予言したが何も発生しなかった。
●2018年2月1日に国防総省を巻き込んだ大事件が起きると予言したが、何も起きなかった。
●2018年2月10日にディープステートの著名人が一斉に自殺する、と予言したがその日に自殺した著名人は一人もいなかった。
●2018年2月16日にロンドンで自動車爆弾テロが起きると予言したが何も起きなかった。同日のトランプ元大統領による軍事パレードは「決して忘れられないものになる」と期待されたが、パレードは中止された。
●2018年3月にヒラリー・クリントンによる悪行の「決定的証拠」となる動画が暴露されるといわれたが、何も起きなかった。
●2018年4月10日に重慶で重大な事件が起きると予言されたが何も起きなかった。
●2018年5月に北朝鮮に関する機密情報のの暴露があるが何も起きなかった。




 その他にも、「ジョン・マケインは上院議員を辞任する」、「マーク・ザッカーバーグはFacebookを辞職して国外逃亡する」、「TwitterのCEOであるジャック・ドーシーは辞職に追い込まれる」、「フランシスコ法王が重罪で逮捕される」など予言されていたが、いずれもあたらなかった。

Stop The Steal, St. Paul
Stop The Steal, St. Paul / chaddavis.photography

【Qアノンのポピュリズム】

 これだけ外れっぱなしなのに、なぜQアノン信仰者はトランプが敗北した「ポスト・トランプ」の米国でも、いまだにトランプ復活を待ち望んでいるのだろうか?

 Qアノンを信仰しているのは割りと中流階級以下の低所得者が多く、オバマ政権下で企業が安価や移民の雇用により労働力の一部を賄えた為に失業したり給料を削減された者もいる。つまり、社会や自分自身が置かれている境遇に不満を持っているのだ。彼らはそのような社会を作った政治家や大手メディア、ハリウッドセレブにたいしてルサンチマン(恨み)を抱いている。

 このような政治的経済的ポピュリズムが、不満の捌け口として彼らは「秘密結社ディープステート」という仮想敵を作り出したのかもしれない。「悪魔」を信仰している「ディープステート」だが、「悪魔」の存在の証明は難しいが否定も難しい。彼らの陰謀論は証明も難しいが、否定も難しいので、彼らは自尊心を保てる。

 また、ポピュリズムに浸かる人々は現実的な日常生活で自分自身が社会に影響力が少ないからこそ、陰謀論において自分達が「社会をより良くする英雄」だと陶酔したがる。そして、実際にトランプ氏が保守的で移民嫌いで、米国人雇用と米国経済を成長させたので、トランプ氏は彼らの「英雄」となったのだ。

 国際基督教大学教授・神学者、森本あんり氏はQアノンの心理を、「荒唐無稽な話を広める人は、内容が事実でなくても構わないと思っている。なぜなら自分が納得できることが正しいと捉えているからだ。その『自分は正しいことを言っている』という意識は、酔いしれるような強い快感をもたらす」と分析する。

Stop The Steal
Stop The Steal / chaddavis.photography

【「ホラ吹き」ほど自身も騙されやすい!】

 世の中の嘘にはただ他人に虚偽を信じさせ物事をトラブルなく自分が望むように進行させる為の「回避型」嘘と、他人を感心させ説得させる為の嘘いわゆる「説得型」の嘘がある。後者はいわゆく「ホラ吹き」でQアノンの多くが後者に入るだろう。

 カナダのウォータールー大学、シェーン・リトレル氏が「British Journal of Social Psychology」に2月4日に掲載した論文によると、後者の「ホラ吹き」は自身も騙されやすい人が多いという。

 リトレル氏らはアメリカとカナダで826人の被験者に疑似科学的な説明やフェイクニュースの見出しを読んでもらい、真偽が区別出来るかという実験を行なった。




 その一例は以下だ。

「我々は相互関連性が高度に開花しようとしている時代に生きており、いずれは量子スープそのものを利用できるようになるだろう」
「川は岩をも割ることができる。力ではない、忍耐によって」
「自然の熱力学プロセスにおいて、相互に作用する熱力学系のエントロピーの総和は増加する」

 上記のようによく考えたり調べたりすると科学的には嘘だと分かるのだが、一見して奥深く知的でかっこいい単語が入っている文章だ。

 そして、被験者は「回避型」「説得型」の嘘をつく頻度を自己申告し、認知能力・メタ認知的な洞察力・知性についての自信過剰レベル・思索能力を評価するテストも受けた。その結果、なんと「説得型」の嘘をつく人は、自らもまた疑似科学やフェイクニュースに惑わされやすいことが判明した。

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IMG_1591b / Becker1999

 リトレル氏によると、「頻繁に説得型の嘘をつく人ほど、さまざまなタイプの誤解を生む情報に騙されやすいことが判明しました。認知能力の高さ、思索的かどうか、メタ認知スキルの高さは関係ありません」と、驚くべき結果である。

 心理学的に「回避型」の嘘は、むしろ自身も計画的な嘘をつくので、疑り深い人たちが多いが、「説得型」は承認欲求の為にホラを吹く。Qアノンのような後者の人々は、事実関係や中身より、表面的になんとなく知的で奥行い印象のある疑似科学・フェイクニュース文章に騙されやすいのだ。

 不安定な社会ほど「陰謀論」は流行る。もちろん、物事には「表」があれば「裏」もあるので、中には多くの真実も含まれているものもあるが、Qアノンをはじめとしたフェイクニュースも多いので要注意だ。

 表面的に「知的で奥深い」ものにも中身がすっからかんな場合も多いので、まずは自分自身で一次情報を調べるのが重要だろう。

文:深月ユリア ミステリーニュースステーションATLAS
ポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血を受け継ぐ魔女占い師。ジャーナリスト、女優、ベリーダンサー、映画・イベントプロデューサーとしても活動

著書
あなたも霊視ができる本 」文芸社
世界の予言2.0 陰謀論を超えていけ キリストの再臨は人工知能とともに」明窓出版

 

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