
長年、自然界の素晴らしい光景や野生動物の姿などを伝えているナショナルジオグラフィック。雑誌も動画も根強い人気があるが、厳しい自然の中での撮影は実に過酷なものである。
時には野生動物に襲撃されることもある…ということでネット上で注目を集めたのがこちらの画像だ。
複数人の撮影スタッフがカメラなどの撮影機材をかついで大急ぎで走っている。よく見れば、その背後には大きなヒグマが顔を出している。
Cheers for the follow @vvpreetham for this you get a picture of the @NatGeo crew running away from a bear. pic.twitter.com/WdJXq3qgGH
— Afzet Marketing (@afzetmarketing) September 19, 2014
上のツイッターの写真であるが、ナショナルジオグラフィックのスタッフらがドキュメンタリー映像の撮影中、野生の熊と鉢合わせて逃げ出す羽目になった、という一瞬を撮影したものと言われている。
緊迫感がありつつも少々コミカルな一瞬であり、自然の中で撮影するなら本当にこのような事態も起きそうに思えるが、この写真は残念ながらフェイクである。
この写真は実際にはアメリカのコロラド州にて、映画のロケハン中に撮影されたものだという。
ロケハンは最初に撮影し、実は熊はあとから合成したものだ。ネット上にあるストック写真素材をフォトショップで貼り付けたものだったのである。なお、そのままだと素材の合成だとすぐにバレてしまうので、左右反転などある程度の加工も行われていた。
追いかけられて逃げ惑う撮影スタッフたちもコロラド州の映画製作者たちである。写真の中にいるあごひげを生やした赤毛の男性、ティム・スパークス氏たちは2011年にコロラド州サライダの野外でロケハン中に軽い気持ちで皆と写真を撮り、熊の画像を合成してFacebookで共有したところ、本当に熊と遭遇した瞬間を捉えた写真だとして広まってしまったようだ。
この画像は人気のあるサイトで紹介されたり、中には自然界で熊に近寄ることの危険性を伝えるための例として使われることもあるという。勿論、むやみに野生動物に近寄るべきではないのは確かだが、ただしその注意喚起にフェイク画像が使用されるというのは本末転倒なのではないだろうか。
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像©milesz PIXABAY