多重人格のさきがけ、16人の人格を持つ女性「シビル」の真実【後編】

【前編】から続く)

シャーリーには空想癖があったものの、厳格な家ではあまり口に出す事が出来ず、また関心をひくために記憶障害を装うようになったという。

その後、自身がかかっていたウィルバー博士が転勤することが決まり、焦ったシャーリーは昔からやっていた記憶障害を装った。彼女の症状を見たウィルバー博士は様々な治療行為を行い、多重人格症患者の例として論文に著し、協力者を得て本にもなった。

一方、シャーリーは自身の症状が詐病である事を知られる事を極端に恐れ、ついには自分からすべてを暴露しようと告白する手紙を書く事にした。

ところが、この内容はウィルバー博士が「患者が自己防衛のためにやったこと」として否定してしまう。

更にシュライバーも出版社と本の出版を契約した後だったため、内容を取り消す事もできず、刊行に至ってしまった。結果、彼女等の本はベストセラーになって3人の元には多額の金が舞い込んだものの、互いが互いを牽制し、抑え合うような関係になってしまった。

シャーリーの状況は改善せず、ウィルバー博士は彼女が全てを告白してしまうのではないかと疑い、長い間一緒に同居して彼女を見張ることになった。シュライバーもその後の著作は鳴かず飛ばずで、3人ともに晩年は貧困に苦しんだ孤独なものだったそうだ。

多重人格症は、その人の精神が苦痛や不快な経験から自分自身を切り離すために生まれた希有な症例であることは間違いない。しかし、だからといって実態を隠した記録や、適切な診断結果に基づかない症例までひっくるめて同一視されるべきではないのもまた事実ではないだろうか。

(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©Anemone123 PIXABAY

 

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