
現在では既に定説となっている生物の進化だが、初めにこの理論を提唱したダーウィン自身は、ある「謎」に非常に関心を持っていたという。
それは、なぜ顕花(けんか)植物が非常に急速に出現したのか、という点である。
顕花植物とは、植物の中でも有性生殖の方法として花を咲かせ種子を作る植物のことだ。 胚珠が裸出している裸子植物と、胚珠が子房の中に包まれている被子植物が存在する。
初めて「花」を備えた植物は約1億4000万年前、恐竜と同じ時代に生まれたとされている。この時期から顕花植物は爆発的に増え、現在では地球の90%の植物が顕花植物に該当する形になっている。
だが、顕花植物は進化の過程における中間段階もなく出現し、一気に多様化して地上を席巻するようになった。
この説明がつかない進化の大爆発に関して、ダーウィンは「忌まわしき謎」と1879年に友人で探検家のジョセフ・フッカー博士へ宛てた手紙で語っている。
ダーウィンもこの謎については頭を悩ませていたようで、「花の進化が南極の未発見の島で長期間にわたって起こった」等の複数の仮説を立てていた。また、ダーウィンを支持していた研究者の中にも、潜在的に神が介入したのでは、という考えを持っていたという。
現在では植物の進化の系統樹も作られているが、未だに植物の進化については謎が多い。ダーウィンの「忌まわしき謎」は、まだ解決をみていない。
(加藤史紀 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 Darwin / comingstobrazil