性暴力啓発動画から考える

 二人の女性が中心となって作成した、「性暴力を見過ごさない」ことを啓発する動画

#ActiveBystander=行動する傍観者

 が話題になっている。

 短い動画なので、是非ご自身で確認して欲しいのだが、簡単に説明すると、まず、性暴力のいくつかの典型的なシチュエーションが、映像で示される。「エスカレーターで前の女性のスカートの中をスマホで盗撮する」「自転車で通りすがりに女性の胸を触る」「バーで一緒に飲んでいる女性がトイレに立った隙に、飲み物の中に錠剤(レイプドラッグ)を入れる」などである。続いて動画は、「もしそういう場面に居合わせたら、我々に何ができるか」を示す。

「エスカレーターの盗撮者のすぐ後ろに立ち、無言の圧力をかける」「触られた女性に駆け寄り、目撃者であることを伝え、通報を勧める」「バーテンに『男性が女性の飲み物に何かを入れた』ことを伝え、新しい飲み物に交換してもらう」などである。動画のタイトルは『#ActiveBystander=行動する傍観者』となっている。




 近年ようやく、日本が性暴力大国であることが明らかになりつつある。「✕✕国はもっとひどい」 のような議論は措いておく。そもそも女性に限らず、人間は誰一人として性暴力を受けるべきではない。女性の九割近くと、決して少なくない男性が成人するまでに性暴力被害(痴漢からレイプまで)に遭う現状は、性暴力大国と言わざるを得ない。

 もちろん、全ての男性が性暴力を働くわけではない。性暴力を働く輩(割合は低いが女性も含まれる)はごく少数であり、そのごく少数の輩が、多数の被害者を生むのである。では輩(読者には輩はいないと信じる)でない我々はどうすべきか。もし性暴力の現場に居合わせたら決して傍観せず、無理のない範囲で性暴力を妨害し、被害者に「周囲の我々は味方である」と伝える。そういう「行動する傍観者になろう」というメッセージが、この動画には込められている。


画像©abdulla binmassam PIXABAY

 ここで視点を変えて、「では輩とはどういう奴らなのか」について見てみよう。九十年代、宮崎勤の事件をきっかけにした、マスコミの無責任なキャンペーンによって「性暴力を振るうのはモテないキモいオタク」という偏見が流布されたが、実態はまるで異なる。性暴力で逮捕される犯人の多くは、妻子のあるサラリーマンである。また、オタクよりは体育会の方が多い。そして問題なのは、彼らの再犯率の異常なまでの高さである。

 近年ようやく、彼らの実態と心理に迫る本が、次々と出版されるようになった。代表的な一冊として『男が痴漢になる理由』(斉藤章佳)が挙げられる。研究者たちは口を揃えて

「性暴力は依存症であり、処罰よりも治療が重要である」

 と主張する。被害者からすればたまらない話ではある。もちろん被害者には加害者を許さない権利がある(許す自由もある)。読者の中に被害者の方がいらしたら、無理してこの先を読む必要はない。しかし社会には、加害者を許し、受け入れる義務がある。だから彼らの内面に、あえて踏み込んでみたい。




 ここでは痴漢に絞って話を進めよう。痴漢になったきっかけについて、実に多くの男性が、全く同じ話をする。

「仕事などでストレスが溜まっていた時、満員電車の中で、たまたま手が女性の体に触れた。痴漢として捕まえられるかとビクビクしたが、女性は声を挙げたり、手を振り払ったりしようとはしなかった」

 こういった成功体験が二度三度と重なると、次第に痴漢は大胆になる。女性の服の中に手を入れ、性的な部位を直接触るようになり、初めは「機会があった時に」 痴漢していたのが「機会を積極的に作って」痴漢するようになる。この間に痴漢の精神には、独特の認知の歪みが生まれる。「抵抗しないということは、痴漢されることを喜んでいるのだ」「今日は仕事をこれだけ頑張ったのだから、ご褒美として痴漢をしてもいいだろう」などである。ちなみに痴漢の多くは、勃起していないと言う報告がある。彼らを突き動かすのは性欲ではなく、支配欲とそれが満たされたときの全能感なのだ。

「被害者は挑発的な格好をしていた、あるいは行動をとった」と言う痴漢神話は、否定されて久しい。

 また、常習的に痴漢をするようになると、(あらゆる依存症がそうであるように)やがて痴漢をする快感は薄れ、「痴漢をしないでいる苦痛」を緩和するために、危険を冒してでも痴漢行為に励むようになる。こうなるともう、逮捕は時間の問題だ。


画像©Mihai Surdu PIXABAY

 近年ようやく日本でも、受刑者に対するカウンセリングや、懲役に至らなかった性犯罪者を治療機関に繋ぐ取り組みが積極的に行われるようになった。認知行動療法によって認知の歪みを正す治療が一般的だが、強い動機と、家族など周囲の人々の支援がなければ、再犯に至ってしまうことも多い。

 先の、痴漢になったきっかけの話からもわかるように、痴漢は我々の誰もが容易に陥りかねない依存症なのだ。個人的には「きっかけ」になりやすい、満員電車を撲滅するのが、性犯罪を撲滅する第一歩であるように思う。

(すぎたとおる ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

作者FaceBookページ:https://www.facebook.com/sugitatoru1701

トップ画像©Ivan Radic

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