スウェーデンのコロナ対策、高齢者死亡の理由は介護施設にあった

画像©Michelle Maria PIXABAY

 昨今、欧州の中では異例の新型コロナ対策をしてきたスウェーデンが各国メディアより非難を浴びている。

 スウェーデンは他の欧米諸国が厳しいロックダウンや都市封鎖をしている中で、集団免疫を目指した為、多くの死者を出したという内容だ。

 冬の新型コロナ第三波で、重症化しやすい多くの高齢者が亡くなったことから、スウエーデン政府は昨今マスクの推奨や会食を4人以内に制限するなど、方針を見直し規制強化した。

 スウェーデンの死者は累計8000人近く、人口10万人あたりの死亡者数は世界でも13位程度と高い。他の北欧諸国に比べ突出して多いが、人口比で見た場合、厳しいロックダウンを導入した英仏伊やスペインよりは少ない。

 しかし、本当にメディアが報じる通り、スウェーデンの新型コロナ対策は失敗だったのだろうか?

 一部のメディアはスウェーデンという国家が超高齢化社会であることや、新型コロナの死者の計算方法が諸外国と異なる点を無視して、ただ批判している。

①スウェーデンは無策だった訳ではなく、即座に集団免疫を期待していた訳でもない

 スウェーデンは新型コロナ対策が無策だった訳ではない。現在の日本と近い状態だといえる。スウェーデンは国民の自由と経済活動の制限を大型施設や大型イベントの入場制限など最小限にして、手洗いとソーシャルディスタンスを推奨した。

 子供の学ぶ権利を大切にする為に小中学校も閉鎖せずに、少しでも風邪の症状がある子は休ませ、高校・大学はオンライン授業とした。手洗いとソーシャルディスタンスを推奨して、長期的には集団免疫獲得も視野に入れた新型コロナ対策をしてきた。スウェーデンの国民性として合理的でエビデンスのないことを嫌うため、科学的エビデンスなきロックダウンをせずマスクの推奨もされなかった。医療崩壊を防ぐ為に積極的な病床拡充は行われた。


画像©Jarkko Mänty PIXABAY




①死亡者の90%は70代以上

 スウェーデンは超高齢社会だ。老人ホームで幾度かクラスターが出てしまったのは、対策不足だろうが、高齢者が重症化しやすいのはどこの国も同じだ。

 超高齢化社会の国と若者の人口比が多い国と比べて、スウェーデンを批判するのは前提条件がおかしい。

②スウェーデンは死者が大きく水増しされている!

 現在の世界各国の新型コロナ死者としてカウントされる人々は新型コロナ関連死も含む。基礎疾患や老衰で亡くなってもPCR検査で陽性ならコロナ死と判定される。世界中でコロナ死者が水増しされているが、スウェーデンは特にそうなのだ。というより、新型コロナ死者のカウントの仕方が非科学的なのだ。

 スウェーデンの場合はPCR陽性診断時から30日以内の死亡は直接の死因でなくとも、また臨床時にPCR検査陽性でなくても感染が疑われる場合はコロナ関連死として扱われてしまう。これでは、PCR陽性者のみをコロナ関連死としてカウントする他国より死者がデータ上増えたことになってしまうのは当然ではないか。


画像©Anders Holmberg PIXABAY

③高齢者の死亡者の多くが介護施設の医療体制不備が原因

 メディアが報じるようにスウェーデンで多くの高齢者が新型コロナで亡くなったのはスウェーデンがロックダウン・都市封鎖をしなかったからではない。

スウェーデンの介護施設の医療体制不備が要因だ。




 70歳以上の死亡者のうち、50%は介護施設に居住していた。元々、スウェーデンの介護施設は通常、自力で一人暮しがきなくなったような何らかの疾患を患う高齢者が入居していて、半数が認知症を患う。新型コロナ以前にも、入居後20%が1ヶ月以内に死亡し、入居後18カ月では約40%が死亡する。

 スウェーデンの介護施設での医療不備は、医療と介護は別々の地方自治体が管轄している為だ。

 介護施設入居者はもともと予後の短い病気を抱えた高齢者であるにもかかわらず、常駐の医師はおらず、看護師もわずかである。酸素吸入入設備もないところが多く、酸素ボンベを使用するしかない施設も多かった。

 また、労働者の権利を重視するスウェーデンは、日本企業同様に労働者が終身雇用制で企業が高額な社会保険料も支払わなければならない為、介護施設はコストの低いパートタイマーを多く雇う。介護施設で働くスタッフのおよそ3割程度がパートタイマーで移民も多い。

 しかし、パートタイマーは、傷病手当などの補償がないため、「軽い新型コロナ症状がある時でも自宅待機」という公衆衛生庁からの指針に従わず、勤務を継続する労働者も多かったようだ。また、正規雇用者は通常時よりも多く欠勤することになり、その穴を埋めるためにさらにパートタイマーが動員され、悪循環を産んだとも考えられる。

 スウェーデンの政策を批判する多くのメディアがこのような事情を報じていない。いまや、日本でも、ほとんどのメディアが口を揃えて、緊急事態宣言・ロックダウンを煽ったり、死者が増えていることを他のエビデンスを無視してやはり緊急事態宣言・ロックダウンをしていないからだと報道するという異常事態だ。

 物事は多角的に様々な可能性を考慮して、その逆の可能性も常に考慮して初めて本質がわかってくるものだ。多角的な物事の見方が許容されない社会は全体主義に一方通行となり、その際大手メディアが国民のマインドコントロールに利用されるのは歴史の常だ。

 フェイクニュースも多い中、いまいちどメディアに惑わされず、様々な情報・データを見比べて、自分軸で消化して分析するのが重要な時代となった。「人間は考える葦である」それが人間らしさでもある。

深月ユリア
ポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血を受け継ぐ魔女占い師。ジャーナリスト、女優、ベリーダンサー、映画・イベントプロデューサーとしても活動

著書
あなたも霊視ができる本 」文芸社
世界の予言2.0 陰謀論を超えていけ キリストの再臨は人工知能とともに」明窓出版

 

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