コロナ禍における悪質なマルチ商法の魔の手

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【悪徳なMLMの魔の手】

 昨今、コロナ禍による経済不況と共に「将来のお金の不安から解放されたい」「副業で手っ取り早く稼ぎたい」と悩む読者がいらしゃるかもしれない。しかし、そんな時こそ弱みに付け込んだ詐欺や詐欺に近い悪質なビジネスが出回るものだ。

 その一つは悪質なマルチ商法だ。

 マルチ商法は日本では合法で、中には品質の良い商品を安価で提供している企業も多いが、悪質な勧誘を伴いかつ会員を囲い込み、商品のメリットのみ語りデメリットを一切言わずマインドコントロールする企業・グループもあるので要注意だ。

 筆者も、去年に知人よりあるサプリをもらって「一緒に周囲の知人などに売って商売しないか?」のと誘われた。

「この健康食品を食べると、毎日健康でいられるし肌がすべすべになるの。アンジェリーナ・ジョリーとかハリウッドセレブの間でも広まっているみたい。だから、何歳になっても美魔女らしいの」

 なんだか、胡散臭いので、筆者が興味を示さない様子でいると、

「私も最初はそうだったの。でも、使ってみたら、綺麗になったし、なんだか精神状態もよくなって、イライラしなくなったの。あ、セミナーにはユリアちゃんみたいに占いやスピリチュアルに興味持っている人多かったよ!みんなで元気になって楽しく稼いで、世の中を楽しくしようっていうかんじで」

そう語るAの目は三十路を過ぎているに関わらず、まるで無垢な少女のようで、少し不気味さもあった。彼女は洗脳されていたようだった。

筆者はその後、何人かのマルチ商法被害者にも会ったが、マルチ商法は洗脳によって成り立つ商売である。


画像©Markéta Machová PIXABAY




【様々なマルチ商法の被害】

<根っから善人の親身な友人を演じる>

マルチ商法の勧誘方法として、「根っから善人の親身な友人になる」というものがある。とある健康食品のマルチ商法に勧誘されたAさんによると、

「病気の家族を持つ家庭や老人を狙い、とても親身になって健康相談に乗ってきました。そして、M社(TVコマーシャルでも有名な健康食品会社)から送られた商品は無条件で買い取るという契約をさせられました。そして、貯蓄が無くなると、手のひらを返したかのような態度をとり、縁を切られました」

 更にセミナーでも巧みなマインドコントロール手腕を使う。

「M社のセミナーではビデオ上映があって、栄耀と健康との関係が説明され、『それを補うのがM社の商品』というフレーズが頻繁に出てきました。洗脳された顧客同士が『これ食べてから元気になったのよねー』『子供の成績が上がったのよねー』という会話をしていたので、最初はなんだか凄く良さそうなものに思えたんです(被害者談)」

<ブランドに弱い日本人>

 日本人はどうも海外ブランドや「セレブ」という言葉に弱い。

「ハリウッドセレブも着用したドレス」というと、なんだか凄く良いものに感じないだろうか。マルチ商法はこの日本人のブランド思考に付け込む。

 ある化粧品のマルチ商法に勧誘された筆者の知人Bは、「色んなセレブ女優が使っている、と勧誘されました」という。

 日本人は世界的に見ても騙され易い。法人税も下がっている今、日本は海外のマルチ商法会社にとって格好のマーケットなのかもしれない。

<その他の悪徳なマルチ商法>

 マルチ商法の誘い文句として、資格商法との合わせ技もある。例えば、

「このエステマシーンで経験を積めば、ゆくゆくは~~の資格が取れますよ」という説明がなされ、高額なエステマシーンを買わされてしまうようなケースである。

 霊感商法もある。上級会員が占い師・霊媒師で、「この商品を買えば運気があがりますよ。悪霊が払えますよ」という語り口で、オカルト・スピリチュアルグッズ等の勧誘をする。

 また、女性経験なあまり無さそうな草食男子をターゲットにして、美人な幹部を雇用したハニートラップ作戦・デート商法もある。


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【マルチ商法の洗脳】

 マルチ商法の手口を知人のW弁護士に聞いた。

「段階に分かれて、洗脳が実施されますね。第一段階として、数千円の日常的に使う商品を知人から紹介されます。第二段階として、その商品を使ってみると、案外良いもので、また、勧誘された知人との付き合いもあり断りづらい為、その商品を再び購入して顧客となってしまいます。第三段階として、自分も販売員になってみます。『楽な自営業』だというのが奴等の方便です。第四段階として、販売方法の講習をうける為に、セミナー等を勧められます。そして、そこに通いつめるうちに洗脳されていきます。そして、第五段階で、マインド・コントロールが完成します。販売員として成功を掴むことこそが、夢・幸せである、と刷り込まれてしまいます」

「現在の時間に拘束され『夢』が無い仕事をやめちゃうケースも多いです。バーチャル・リアリテイの影響もあって、コミュニケーションが苦手な方が増えてますよね。マルチ商法はサークルのように頻繁に集会・セミナーを開き、自己啓発セミナーのような連帯感を生むので、その集団といる事が居心地がとても良くなるようです。それで、彼らとの付き合いが日常生活にまで介入し、どっぷり依存して洗脳されていってしまいます」

 では、家族にはバレないのか?家族は止めないのか?

「バレますよ(笑)でも、集会で、何かに付けてポジテイブ・プラス思考を押し付けられます。極論を言えば、友達や恋人からマルチ商法と馬鹿にされて絶交されようが、借金をふくらませて家族を泣かせようが、そのことをプラス思考で捉えないとならなくなる為、家族から止められても気にしなくなるんです」

 ポジテイブ・プラス思考は良く言えば、確かに「人生が明るく、楽しくなる」為、悩み多きストレス社会に生きる忙しい日本の社会人にとっては素晴らしい薬となる、とも言える。マルチ商法は実に人間の弱みに巧みに漬け込んでいる。Wは語る。

「会員はそのように自分を変えたマルチ商法会社にカリスマ性すら感じてしまうんですね。洗脳されると、『製品に対する盲信』が生まれます。『この製品は素晴らしい』という勧誘文句は、単なる営業トークではなく、勧誘している本人が真面目に信じ込んでいます。彼らは『良い商品だから友達に勧めているだけ。何が悪いの?』と本気で思い込んでいて、『友人を騙してお金をむしりとってやろう』などという悪意は持っていない事の方が多いです。そして、『お金儲けがしたい』『成功したい』と願うのと同時に、『この素晴らしい会社の素晴しい製品を世に広めたい』という使命感に燃えています。洗脳が進行すると、『自分が破産したってかまわない』『他の仕事をやるぐらいなら死んだほうがマシ』と考えてしまい、異常な強迫観念に囚われているケースもあります」

 今や、誰にでも忍び得る可能性のあるマルチ商法の魔の手ー貴方は大丈夫だろうか?

深月ユリア
ポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血を受け継ぐ魔女占い師。ジャーナリスト、女優、ベリーダンサー、映画・イベントプロデューサーとしても活動

著書
あなたも霊視ができる本 」文芸社
世界の予言2.0 陰謀論を超えていけ キリストの再臨は人工知能とともに」明窓出版

 

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