画像 門松 / an-k

 正月と言えば、一休禅師の話をせねばなるまい。

 とんち話で有名な『一休さん』こと一休宗純は、室町時代に活躍した、禅宗(臨済宗)の僧侶である。その一休さん、ある正月に、杖の頭にドクロをしつらえて、「ご用心、ご用心」と言いながら、京の街を練り歩いたという逸話が残っている。

 また、「門松は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」という和歌も残した。

 だから正月といえば一休禅師なのである。因みにこれらの奇行の意味を問われた一休は

「誰もが明日、シャレコウベになっていないとは限らない。だから一日一日を悔いなく生きよ」

と答えた。深い。


画像©ウィキペディアより引用

 一休宗純は、室町時代、足利義満が権勢を振るっていた頃の京都に生まれた。伝承によれば、父親は後小松天皇。義満が南北朝を統一した時の天皇であり、その後継を巡って争いがあったため、庶子である一休は六歳で出家させられた、とされている。

  禅宗(臨済宗)の安国寺(現存せず)で、謙翁宗為(けんおう そうい)の弟子として修行していた一休だが、十七歳の時に師が亡くなると、自殺未遂を起こす。一命を取り留めた一休は、大徳寺の高僧、華叟宗曇(かそう そうどん)の弟子となって修行を続け、二十七歳の時、カラスの鳴き声を聞いたことをきっかけに大悟した。この時、華叟は印可状(悟りを開いたという証明書)を与えようとしたが、一休は辞退し、風狂の人としての活躍がはじまる。

 お経にクソを垂れ、憤る周囲の人々に

「無縄自縛」(従う必要のないルールで自分を縛ること)

 を説いたかと思えば、飼っていた雀の死に、人目も憚らず号泣、戒名まで付けて弔ったりもする。まさに融通無碍である。

 鎌倉時代に日本に渡来した禅宗は、支配階級である武士の精神性と合致したことから、幕府の庇護を受けて広まった。また、貴族階級も武士に媚びるため禅宗に帰依するようになった。権力との結びつき--かつて南都六宗や天台宗が辿った道である。


画像©ウィキペディアより引用




 ある時、兄弟子である養叟宗頤(ようそう そうい)が、堺の町で印可状を売っていることを聞きつけた一休は激怒した。腐敗著しかった頃のカトリック教会は、

「これを買えば天国に行ける」

 と免罪符を売って、マルティン・ルターらの怒りを買い、宗教改革のきっかけとなった。もちろん養叟は金のためだけに印可状を乱発したわけではなく、ごく限られた有力者に、 経典を暗記させ、試験を課した上で印可状を発行していたに過ぎない。大徳寺の住持として、教派の興隆のための苦渋の選択であったのだが、そんなことに構う一休ではない。何と、朱鞘の太刀を担いで、堂々と堺の町へ乗り込んだ。

 大勢の町衆が遠巻きに見守る中、駆けつけた養叟と対決する一休。一休はその太刀を抜いてみせる。中身は真剣ではなく木剣であった。驚く養叟と町衆に

「この太刀は貴様(養叟)だ。一見立派な高僧に見えるが、中身は木の棒にも等しいニセ坊主。悟りを売って得た金で生かされた禅など、もはや禅にあらず!」

 これには養叟も一言もなく、すごすごと引き下がった。 この時の、朱鞘の太刀を携えた一休の姿が、肖像画として残っている。




 禅宗の堕落に憤る一休であったが、自身は破戒僧と呼ばれても仕方のない生活を送っていた。生涯のうち、ほんの短い期間を除いては寺に住持することなく、河原やあばら屋に庵を結んで生活したのは、禅僧のあるべき姿と言えなくもない(ちなみに一度、人里離れた山奥に庵を構えたが、人恋しさにたちまち逃げ出した)。

 しかし、大酒を飲み、女郎屋に繰り出すのはアウトであろう。もちろん養叟をはじめとする周囲の人々は一休を咎めたが

「女をば 法の御蔵と 云うぞ実に 釈迦も達磨も ひょいひょいと生む」

 と知らぬ顔。それどころか、七十七歳の時に盲目の若い美女・森侍者(しんじしゃ・地獄太夫とも)と出会って愛人として側に置き、その交わりを題材に、多数のエロ漢詩? を残した。

「形式に捕らわれることなく、真の悟りを追求せよと訴えるため、あえて破戒僧として振る舞ったのだ」

 という解釈は可能だが、それは贔屓の引き倒しと言うものだろう。それに、一休の残した言葉や作品からは、人生と生きることに対する、限りない愛情が伝わってくる。


画像©truthseeker08 PIXABAY

 一休は弟子たちに、自分の跡を継ぐことを禁じ、八十八歳で亡くなった。最後の言葉は

「死にとうない」

 だったと言うが、本心だったのか、深い韜晦だったのか。

 いずれにせよ、江戸時代に一休は、とんち小僧「一休さん」として復活する。アニメーション作品「一休さん」は主に仏教国に輸出され、国境を越えて今なお愛されている。

(すぎたとおる ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

作者FaceBookページ:https://www.facebook.com/sugitatoru1701

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