
欧州の歴史に暗い影を落とす「魔女狩り」。
キリスト教の異端審問や民衆の社会不安による集団ヒステリーから行われたもので、15世紀から18世紀までに欧州では推定で4~6万人が処刑されたと考えられている。「魔女」とされた人物の中には無実の罪で訴えられ、処刑された人も多かったという。
そんな魔女裁判の被害者たちに対する名誉回復が現在検討されている。
スコットランドでは、1563年に「魔術法」が新たに制定され「魔術を練習したり、魔女と相談したりした人は死刑に処する」との規定に基づき多くの人が告発を受け、拷問の末に魔女と認めさせられ処刑されたという。この法律は当然、現代では既に廃止されて久しいものとなっている。
だが現在、スコットランドでは当時の魔女裁判によって有罪とされ、死刑を宣告されたすべての人々をゆるすことを目的とした新しい動きがあるようだ。
このキャンペーンはアメリカのセイラム魔女裁判を下敷きにしており、1957年に当時魔女としてあやまった有罪判決を受けた人々に対する謝罪と名誉回復が行われたことをふまえている。
このキャンペーンの提唱者であるクレア・ミッチェルQC氏は「多くの女性たちが正義の暴走の末に亡くなりました。私たちは皆その認識を持っていますが、亡くなった多くの人々の名誉は回復されいておらず、また被害者を追悼するものは何もありません」と語る。
言いがかりをつけられ、魔女として殺された人々の名誉は300年以上の時を超えてようやく回復に至るのかもしれない。
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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