ウブな中年女性が騙される…国際ロマンス詐欺は身近で起こっている

投稿 匿名希望さん

山口敏太郎先生、ご無沙汰しております。国際ロマンス詐欺の回、面白かったです。今でもまだあるのですね。

数年前のことですが、私も同様の相談を受けた経験があります。

大学で授業をしていたら授業中に携帯が鳴り、(しまった!学生に携帯鳴らすなとか注意しているのに自分が鳴らしたわ!)と思いながら、「すみません。あとから電話します」と返事して、休憩時間に電話を折り返すと、「国際取引について相談があります。数億円の銀行取引の件で問題があって」という法律相談の依頼でした。

弁護士的には、「ラッキー!」です。そんな事件やれば報酬すごいでしょうから。関西某県の人で女性で、「自分は医療法人を「やっている」」とのことでした。

私は、一応警戒心があるので「なんでそんな筋のいい事件でうちなんかに電話してきたんやろ?」と思い、「もっと大きな事務所とかでなくて、なぜうちにご連絡いただいたんですか?」と聞くと、「WEBで検索していろいろ連絡をいれてみたが、海外取引をやってくれる事務所は少なくて、何件も断わられた」とのことでした。




「海外の事件やっててよかったな」と私はほくそ笑み、すぐに相談したいとのことでしたので、大学帰りに大阪のホテルのロビーで待ち合わせて相談を受けることになりました。

普段、私は、自分から相手のところに出向くなどしませんが、なにせ数億円の事件のようですので、私も急いで受任したいわけです。

約束の時間にホテルのロビーに行くと、地味な女性がたたずんでいました。私は、彼女のことを、「海外で数億の取引を行う医療法人の理事」とかと思っていますので、「この地味な人とではないなあ」と思いましたが、少し待ってもほかに待ち合わせしていそうな人がいなかったので、声をかけると「私です」とのことでした。

あれ?とすぐに違和感をもちましたが、とりあえず、そのままロビーに隣接する喫茶店に入り相談を受けることにしました。

聞くと、彼女は、医療法人の経営者などではなくて、医療法人で「勤務する」50代の独身女性。パートの医療従事者だとわかりました。

このへんで、「あ、ヤバい」と感じ、この相談が、「筋がいい」どころか「非常に筋悪」であることも確信しました。私の「どうやってこの事件をものにするか」という欲望は、「どうやって早く撤退するか」という気持ちに切り替わりました。

彼女が語りはじめた内容は、「アフガンで勤務するアメリカ軍の技術者が、日本でドローンを開発する会社を設立したいと言っている。資金を5億円日本に送金した。送金の途中で、マネーロンダリングの規制でひっかかって、香港で送金がロックされている。そのロックを解除するのに、数百万円必要だ」とのことでした。

それで、「この話、本当でしょうか?」と私に聞いてくるのです。




「まあまあ落ち着いてください。その軍人って誰ですか?」と聞くと、

「facebookで知り合った恋人です」「そうですか。詐欺ですよ」
「結婚を約束しています」「そうですか。詐欺です」・・・。

その女性は、アメリカの軍需物資調達庁のような役所の証明書的なものも見せてくれました。意味はわかりませんでしたが、なんとなくそれらしさはありました。

メッセージのやり取りを見せてもらいましたが、すべて英語です。しかし、その女性は英語ができないようでした。「どうやって相手と意思疎通してらっしゃるのですか?」と聞くと、「スマホの翻訳です」とのことでした。

私のやる気スイッチはとっくに切れていたのですが、その女性がすでに1回か2回、香港の銀行口座に30万円を送金していると聞き、さらに、「送金を急ぐそうなので、今すぐ送金できるように、お金は持ってきています」と、200万円を持参していたのにはおどろきました。

「このお金どうしましたか」
「さっき、サラ金で借りてきました」
「すぐに返したほうがいいですよ」

弁護士に相談するということは、その女性は、話の怪しさを自覚していたのだとは思います。

実は背中を押して欲しそうでしたが、当然「絶対送金しないように」と止めました。

「相談料はいくらでしょうか?」と、女性はサラ金の封筒からお金を出そうとしたので、(そんな金もらえないわ)と思い、「いや、今日はいいですよ」と言って、なぜか2人分のコーヒー代を私が支払って帰りました。

(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©Thomas Ulrich PIXABAY

 

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