魔女とは何か?「魔女狩り」の歴史から学ぶこと

画像©深月ユリア

筆者はポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血を受け継ぐ「魔女」である。読者は「魔女」に対してどのようなイメージをお持ちだろうか。

「魔女」というと日本ではあまり馴染みないかもしれないが、古来より神仏のお告げを聞く巫女に近い存在である。神仏や霊魂とチャネリングができて、自然を敬い、森羅万象の魂のメッセージが聞き取れる存在。その能力でヒーリングや除霊・浄などの人助けもする存在だ。

もともと、中世ヨーロッパの魔女裁判で殺された女性たちも、自然を敬い薬草治療やヒーリングに詳しい賢い女性たちで、その知識を使ってしばしば人助けをしてきたといわれている。しかし、中世ヨーロッパ暗黒時代はキリスト教の教義が絶対であり、神の力以外のスピリチュアルな能力はすべて「悪魔の仕業」だとレッテルを貼られていた。

加えて、当時はペストの蔓延に飢饉が起きたりと非常に不安定な社会情勢で、人々はどこかに責任を押しつけたり、何かのせいにしないと我慢できない、という状態だったのだ。

そのような社会情勢を教会もどうにもできないから、教会も人々に「神様は何も助けてくれないじゃないか!」と思われるより、「この不幸は悪魔と契約した魔女のせいだ! 魔女をかたっぱしから摘発すれば不幸もやむ!」と人々を洗脳し、「魔女」をスケープゴートにしていった。その方が好都合だったからである。


画像©wikipedia

魔女狩りの教典「魔女に与える鉄槌」(1487年)によれば、魔女について次のように記述されている。

「魔女は、悪魔と盟約を結んで悪魔に臣従し、その代償として悪魔の魔力を与えられ、超自然的な妖術を行うことができる」

当時描かれた絵の中で描かれている魔女は鼻の先が鷲の口ばしのようにとがった「鷲鼻」を持っているが、この鷲鼻を民族的な特徴として持つのがユダヤ人だ。




ユダヤ人はイエス・キリストを処刑した民族としてヨーロッパには忌み嫌われていた。実は魔女狩りの目的には「ユダヤ人狩り」の目的もあったのである。

ユダヤ人は統計的に知能も高く、カバラ数秘術や錬金術、天文学の知識にも優れていたので、ローマ教会はユダヤ人が力を持つことを恐れ「悪魔と契約した魔女」という卑しい烙印をおしつけた。


画像©wikipedia

カトリック教会の異端審問が厳しくなったのは、フリーメイソンの起源だと謂われているテンプル騎士団の出現以降だが、カトリック教会はユダヤ人が団結して後のフリーメイソンのような組織を作ることを恐れ、「魔女狩り」という風習によって邪魔なユダヤ人を一掃し且つ市民の社会不安を吐き出させる、という一石二鳥を得たのである。

またカトリック教会は、魔女を発見するために公然と密告を奨励した。百姓も貴族も商人も、たとえ聖職者であっても、あらゆる階層の人々に容赦なくその容疑が向けられるようになり、魔女狩りによる犠牲者は女性だけとは限らず老若男女が犠牲となった。

人々は疑心暗疑になり、絶えず密告される恐怖に脅え、今日か明日かと自分の運命に不安を覚えぬ者は一人もいなかったという。このおぞましい恐怖の嵐は、約500年もの間、中世ヨーロッパの国々に吹き荒れた。魔女裁判によって、800万という無実な人々が凄惨な拷問の末、魔女と断定され、残酷な殺され方をしたのだ。


画像©wikipedia

魔女として告発されると、まず告発文の朗読が始まる。胎児を殺して食ったとか、死体をカエルや蛇と煮込み魔女の秘薬をつくり、町中に呪いを掛け、災いをもたらしたなどの内容である。勿論、たいていの容疑者は「私は魔女ではありません」と否定するが、何を言っても無駄で、自白するまで拷問されるのが常だった。

代表的な方法として「水責め」や、「魔女の椅子」「サン・アンドレの十字架」などといった非常に残酷な拷問器具が用いられた。




自白すれば、受刑者は魔女ということになり、生きたまま火刑に処せられることになる。その際、種火を薪の下に差し込んで火をつける役は大変名誉とされてた。人々は、この火刑の儀式を心地よい一つのショーとして見ていた。


画像©wikipedia

中には、3日間に10万人の見物人が集まったこともあったようだ。狂信主義に煽られた人間というのは、本当に恐ろしいものだ。

さらに魔女発見業者などというとんでもない商売も生まれた。人々の疑心暗鬼はさらに深まり、しまいには家族や恋人にもいつ何時裏切られるか分からないような、誰も信じられなくなる、恐ろしい時勢が到来した。

やがて、魔女の裁判を行う審問機関は、社会のスケープゴートをつくる他にもう一つ目的ができた。彼らは、欲にくらみ「魔女」とレッテルを貼られた犠牲者の財産を没収し取り上げたのだ。魔女裁判は教会の資産を手っ取り早く増やすための効率のいい収入源となったわけだ。

しかし18世紀には、産業革命によって、科学的な考え方や知識が広まり、「魔女狩り」はほとんど姿を消した。「魔女狩り」は文明国ではいまや過去のものとなった。


画像©travelphotographer

とはいえ、人間の本質は変わらない。不安・恐怖が高まると、人間は集団心理に洗脳されやすい。

我々は新型コロナによって社会不安が高まった今の世でこそ、「魔女狩り」の歴史を振り返るべきであるように思う。ペストの新型コロナも共通しているのは「目に見えない恐怖」でかつ特定した犯人がいないことだ。

未知のもやもやしたものがあるからこそ、スケープゴートを作りたくなる。ペストはカトリック教会が「魔女」を、新型コロナは「自粛警察」が自粛しない(自粛が効果あるという科学的証拠ないのに関わらず)業者や、外出している人々をスケープゴートにした。筆者の知人にもマスクをせずに外出したら「自粛警察」に空き缶やら石やら投げつけられた人がいる。

集団心理は虚構の「正義」という妄想を生み出し、冷静さを失わせる。令和の世に再び「魔女狩り」が起きないよう願いたい。

(深月ユリア ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

深月ユリア
ポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血を受け継ぐ魔女占い師。ジャーナリスト、女優、ベリーダンサー、映画・イベントプロデューサーとしても活動

著書
あなたも霊視ができる本 」文芸社
世界の予言2.0 陰謀論を超えていけ キリストの再臨は人工知能とともに」明窓出版

 

関連記事

最近の投稿

ページ上部へ戻る