「日本の怪獣文化と、神獣を降臨させる儀式」

日本は世界一の「怪獣大国」だ。映画やテレビ番組の中で、これほど多くの怪獣(モンスター)が量産された国は他にはない。

そのキッカケとなったのは、昭和29年公開の映画『ゴジラ』の大ヒットである。

既に海外では『キングコング』が昭和8年に公開されていた他、巨大生物や恐竜の生き残りが暴れまわる映画も多く製作されてはいた。ただ、それら海外のモンスター映画と、『ゴジラ』には決定的な違いがあった。

2013年に公開されたアメリカ映画『パシフィック・リム』には多数の巨大モンスターが登場したが、敢えて「KAIJU」(怪獣)という言葉が使われた。モンスターと怪獣には明らかに違いがあるという意識があるからこその設定であったと言えるだろう。




海外の巨大モンスターも、日本の怪獣も実際には幅広いバリエーションがあるので、例外は存在するが、基本的にリアルな生物の延長線上にいるものが海外の巨大モンスターには多かった。

一方、日本の怪獣は現実に存在する生物は持っていないような特殊能力を持ち、人類(科学)の力では倒せないような存在が多い。

怪力が最大の武器であるキングコングに対して、日本のゴジラは口から放射能を含んだ熱線を放つ。ゴジラのデザインも、キングコングなどと同様に、現実に存在した生物をヒントにはしている。恐竜である。

ただ、その頭部には恐竜のような爬虫類とは違う雰囲気……例えば、狛犬に近い雰囲気なども感じられないだろうか? 

古代から伝わる神獣や幻獣の要素もゴジラのビジュアルには盛り込まれており、それ故に口から炎を吐いても、観客は何の違和感もなく受け入れることが出来たのかもしれない。

ゴジラ以降に生み出された怪獣は、持っている能力もどんどん多様化していく。

冷凍光線を吐いたり、四次元空間を生み出したり、タイムトラベルをしたり、落書きから実体化したり、死んだ生物を復活させたり……と、まさに神話の中に登場する存在のような能力を映画やテレビの中で続々と披露していった。

ところで、ツチノコ、クッシ―、イッシ―、ヒバゴンにマツドドン……といったUMA(未確認生物)が、日本でもっとも多く目撃された時期は、昭和45年からの48年頃にかけてであった。

当時はUMAなんてハイカラな言葉もなく、「実在する怪獣」として少年漫画雑誌のグラビア企画などで、これらのUMAたちが紹介されて、少年たちを熱狂させていた。(この時代の「怪獣図鑑」にも、ゴジラやガメラと一緒にネッシーなどが紹介されていた)

ツチノコなどは奈良時代の頃から、存在を語られていたが、それまでは伝説の妖怪のような扱いであった。それが未確認の生物として、実在する怪獣として話題になり出した時期がこの頃だったのである。

イギリス・スコットランドで目撃されている世界一メジャーなUMAネッシーのような水棲獣、イッシー(鹿児島県の池田湖で目撃)やクッシー(北海道の屈斜路湖で目撃)や、ヒマラヤの雪男イエティのような獣人UMA・ヒバゴン(広島県庄原市で目撃)なども話題になり、世界中で話題になっているUMAのバリエーションが、この日本で再現されらかのような凄い時代であった。

しかし何故、日本でのUMA目撃はこの時期に集中しているのか? 

その理由について、ある説を唱えたい。それはゴジラやウルトラマンを生み出した円谷英二監督はシャーマンであったのではないかという話だ。

もともと円谷は、キングコングのような人形アニメーション(コマ撮りで、怪物の人形を動かして撮影する技法)を使って、ゴジラを撮ろうと考えていた。しかし日本映画の予算とスケジュールでは手間のかかる人形アニメーションの使用は断念せざる得なかった。

そこで円谷がヒントにしたのが日本の伝統芸能「能」だったのである。能では、人が巨大な龍や蝦蟇の着ぐるみに入って演じることがある。それを発展させて、円谷は着ぐるみとミニチュアによる特撮映画にチャレンジしたのだ。

そして、能は、神楽として、神を召喚する儀式という側面も持っていた。円谷が意識していたのか無意識だったのかは分からないが、能をヒントに生み出された怪獣映画の撮影が、本物の怪獣(UMA)を召喚してしまったのである。

その証拠に日本で一番UMAが目撃された昭和45年から48年は、着ぐるみを使った特撮番組がもっとも多く製作されていた時期とも重なるのである。




また第1作目の『ゴジラ』が公開された4年後には、日本の南極観測船「宗谷」の船長と乗組員が南極の海で、ゴジラに酷似した巨大生物を目撃したという事件があり、当時の新聞記事などでも紹介された。

着ぐるみを使った怪獣特撮には、神を降ろす効果が本当にあったのかもしれない。

こう考えると、ゴジラの顔がどこか狛犬に近い印象があることも、現実に怪獣を召喚させるうえで何か働きがあったようにも思えてくる。

余談であるが、円谷英二は映画「ハワイ・マレー沖海戦」の撮影中にUFOも目撃している。宇宙人も円谷の特撮が生み出す効果には注目していたのかもしれない。

特撮の神様は、宇宙からも注目される神秘的な能力の持ち主だった!

(中沢健 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

    

 

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